評価:★★★
4つの短編が収められていて、
それぞれシリーズ・キャラクターの過去が描かれている。
「九段坂の春」は中学二年の桑原崇、
「北鎌倉の夏」は高校一年の棚旗奈々、
「浅草寺の秋」は大学一年の小松崎、
「那智瀧の冬」は大学院生の御名形と、
春夏秋冬と季節は巡り、年代もすこしずつずれている。
場所も時代も異なる四編なんだけど、
共通して登場する人物がいたりして、この4人に
(本人たちは全く知らないんだが)不思議な"縁"があることが描かれる。
そして、これはすごいと思ったんだけど、
「九段坂の春」で起こった事件が「那智瀧の冬」で解明される。
東京で起こった事件が、数年後の和歌山で、
しかも、登場人物がほとんど共通しない状況で解決するわけで、
すごく手がかかった作品だというのが窺われる。