「魯山人の書―宇宙に字を書け 砂上に字を習え」
著者:山田和
発行:平凡社
山田和(やまだかず)
1946年富山県生まれ。作家。
『インド ミニアチュール幻想』(平凡社、文春文庫)で講談社ノンフィクション賞、『知られざる魯山人』(文藝春秋)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。
その他の著書に『インドの大道芸人』(平凡社、講談社文庫)、『21世紀のインド人』(平凡社)、『魯山人の美食』(平凡社新書)、『瀑流』(文藝春秋)、訳書にM.K.シャルマ『喪失の国、日本』(文春文庫)などがある。
本書は、書家としての北大路魯山人について書作品や著作から振り返る書き物である。
書道青年だった福田房次郎(のちの北大路魯山人)が二十一歳で日本一の青年書家「福田大観」となるまでのいきさつは、魯山人の生き方を象徴しているようで興味深い。
「書法自在」という初心者向けの啓蒙書で独学し、十二歳のときから当時流行の「一字書き」に応募して賞金を稼いでいた少年福田房次郎は、隷書体や六朝体に憧れて日下部鳴鶴や巌谷一六の門を叩くが、隷書作品を書いて持参したところ「(隷書は最後にやるものだ)まず楷書からやれ」と言われて憤慨し、独学の道を選んだのだそうである。
著者は、魯山人の書を編年で追うことで、彼の魂の形と変化が浮き彫りになってくる、と述べている。
三十代の頃には王羲之や顔真卿などの中国の書家に傾倒、また池大雅の書に出会い、東京の京橋に開いた古美術店に「大雅堂藝術店」という名前をつけた。
著者は魯山人がこれらの書家を愛した理由について独自の考察を展開する。
四十代になり「北大路魯山人」を名乗り料亭「星岡茶寮」を演出、備品(食器・条幅・屏風など)をすべて自作していた頃の作品や批評、五十代、星岡茶寮を追われ、良寛の書に心酔、星岡窯にこもり無垢無心への道をめざす姿を、各時代の書作品の解説や著作の引用を交えて紹介している。
画家の横尾忠則の装幀が非常に印象的な作品である。
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