7000年前のミイラの発見が研究チームにもたらす悲喜こもごも、多数の死傷者を出しながらも毎年開催されるピクニックイベントなど、何となくわかるようでよく考えるとわからない超現実的な奇譚の詰まった短篇集です。何に似てるかと考えるとブッツァーティですかね、現代的かつアメリカ的にアップデートされたブッツァーティでしょうか。
明らかに異常であったり、そこかしこに不吉な予感を漂わせた世界の中で、それを受け入れつつ生きる人々の姿にたまらなくぞわぞわします。潔さとかやけっぱち感ではなく、危ういながらも現状を維持しつつ決定的な崩壊を恐れ、あるいは待っているように見えて仕方がありません。
どの作品を読んでみても主人公たちの置かれた状況は実に過酷で容赦ないものではありますが、それを敢えて笑おうとする気配もまた随所に滲んでいます。決して前向きな態度ではないんですけれども、こんな状況でも人は笑うものだなぁと思えるユーモアに抗しがたい魅力があります。中でもテクノロジーの発達していない時代が舞台となる「包囲戦」の、絶望的な状況と冷静な語り手の組み合わせがたまりませんでした。



