「人と違うものが視えることがある」
そんなユウスケの前に「はるひ」という女の子が現れる。
「助けて欲しいの、ユウスケ」
ささらシリーズ第三弾
前二作「ささら さや」「てるてるあした」が
大好きだったので、
成長したユウ坊、相変わらずのサヤ、
さりげなく登場する懐かしい人たちに
久しぶりに会えてうれしかった。
お元気そうでなによりです。
散らばったピースがきちんとおさまる結末は
とても気持ちがいいです。
不幸が回避されて本当によかった。
たとえそれが自称エゴイストの目的に
付随するものだとしても。
どこにでもありそうな地方都市・佐々良
ありふれていながらどこか風変わりな街は
特別な力を持っているようです。
今回も不思議なことが起こりました。
「はるひ」は4回現れた。そのたびにユウスケは
謎めいたお願いを引き受ける。
最初は小学校に上がる前の幼いころ。
4回目は中学2年の夏休み。
そして高校生になったユウスケは
満開の桜の下の少女に出会う。
その出会いは謎解きへの第一歩。
母は最愛の娘のことを一身に案じていたのですね。
そしてささらの魔法が発動した。
カード、ユウスケの手元に届いてよかった。
以下、未読の方はご注意を
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「わたしがとても残念に思っている変化があるのよ。
一週目と二週目とでは、決定的な変化が」
エマさんはそれが何かは言わなかったが、
うっすらと僕にもわかっていた。
そしてエマさんほどには僕はそれが残念ではなかった。
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変化はユウスケの初恋の相手のことかな?
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「わたしの目的はただひとつ。
ある薬が、少しでも早く開発されること。」
娘が早逝するという「間違った未来」を
阻止するために、死の瞬間に授かった能力を
エゴイスティックに最大限に駆使する。
薬が未来で開発されるのはわかっている。
しかし娘の遺伝性疾患の発病に
間に合わないかもしれない。
↓
薬には、ある植物の成分が必須。
開発者は植物を「険阻な山奥」で発見。
しかし、近くの川原にもそれは生息していた。
川原に近づかなかったのは蛇が苦手だったから。
近くで「鷹」を飼っていた人物が存命だったら
川原に蛇がいない時期が長くなる。
すると蛇を嫌う開発者が植物を発見しやすくなり
薬が早くできあがる。
鷹を飼う老人の死の原因は
孫娘の身に起きた不幸なできごと。
だから「はるひ」は孫娘の死を回避させるために
ユウスケの前にあらわれた。
「助けて欲しいの、ユウスケ」
孫娘・美鳥が中学二年生の夏休み
もう一度、はるひは美鳥を救う。
無事に高校生になってユウスケと華の
クラスメイトになってもらわないといけない。
1週目の世界のイッサはいいヤツでしたね。
彼がいなければユウスケと華の関係は
違うものになっていたかもしれない。
ふたりが親しくなるのに時間がかかってしまい
ユウスケが「はるひ」に会うのに間に合わなければ
華との未来も変わってしまったかもしれない。
おびただしい数の断片が縒り合わさって
この世界は成立している。
なんてことを思いました。
「イラスト・十日町たけひろ」
あれ?菊池健さんじゃないの?
と思ったら改名されたのですね。
加納朋子さんの本の装画には
この方のやさしいタッチがお似合いです。