Quantcast
Channel: So-net blog 共通テーマ 本
Viewing all articles
Browse latest Browse all 53333

『 閉じた海 』

$
0
0
吉野弘さんの 詩。 -------------------------------------------------------- 『 閉じた海 』 ラスカー・シューラーは こう歌った。 「私の眼のうしろに 海がある それをみんな 私は泣いてしまわなければ ならない」と。 私は尋ねる。 くらしの合間は小出しに泣いて 「死」が訪れたとき 一挙に 海を泣きつくすのでしょうか 人は 海が干潟になるまで? 海が答える。 いいえ 海を泣きつくすまで 死に待ってもらう特権は 誰にもなくて 海は やはり 死者の眼のうしろに 残る筈。 ----------------------------------------------------------- とても 印象深くて、ずっと 心に残っていた 詩。 眼のうしろの海、というのを 時々 思い出し 想像する。 例えば、その海には 光がなくて、とても暗いものだったりする。 ときには、澄んだ 藍色が イメージとして、広がったりもする。 くらしの合間は、小出しに泣いて よるべない気分に 浸っていたから、小出しに泣く というのが 妙に しっくり 響いてくる。 かなしみには、おおきいもの と ちいさいものがあって、でも ちいさかったとしても、それは やっぱり かなしくて。 私の 眼のうしろの海は、さわさわ 揺れているのだろう。 今日は この詩を 引用したくなった。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 53333

Trending Articles