<裏表紙あらすじ>
穂村チカは、憧れの草壁先生の指導のもと、吹奏楽の“甲子園”普門館を夢見る高校2年生。同じく先生に憧れている、幼なじみの上条ハルタと、恋のさやあて(?) を繰り広げながらも、夏の大会はもう目前。そんな中、どうも様子がおかしいハルタが、厄介な事件を持ち込んで…!? 色とりどりの日常の謎に、頭脳明晰&残念系美少年ハルタと、元気少女のチカが立ち向かう! 絶対に面白い青春ミステリ、“ハルチカ”シリーズ第3弾!
去年(H24年)の7月に文庫化されたものを買っていたのですが、今 amazon.co.jp からひっぱった上の画像を見ると、表紙絵が変わっていますね。
「退出ゲーム」 (角川文庫)、
「初恋ソムリエ」 (角川文庫)に続くシリーズ第3弾ですが、3作とも表紙絵を代えたようですね。
旧バージョンは↓
旧バージョンの方が好きですねー。あくまで個人的な好みの問題ですが...軽やかな感じがいいと思いませんか!?
いよいよ大会となったシリーズ。
本書は、冒頭、「イントロダクション」と銘打たれた、いきなり大人になったチカのモノローグで幕を開けるので、びっくりします。そういう趣向でしたっけ?
このモノローグのラストがいい感じです。
「どんなに苦しいときでも、素敵な寄り道ができたことを伝えたい。どんなに厳しい環境でも、ちょっとだけ遠まわりして楽しく生きたことを教えてあげたい。それが許される宝石箱のような時間は、だれにでも必ずおとずれるのだから--」
「宝石箱のような時間」って言葉に込められた思いがポイント高い。
「ジャバウォックの鑑札」「ヴァナキュラー・モダニズム」「十の秘密」「空想オルガン」の4話を収録していますが、各話もモノローグで幕開けです。
いずれも、ハルチカのいる清水南高校関係者ではないところがミソなのでしょう。
モノローグが一番効果的に使われているのは最終話で表題作の「空想オルガン」。モノローグで始まり、モノローグで終わります。ひょっとしてこのために、モノローグ形式を導入したのかも。個人的には、仕掛けの結果うまくだまされた、というのではなく、藪から棒に突然仕掛けが明かされたような使い方なので、素直には感心できなかったのですが、全体としては、「イントロダクション」と呼応するエンディングとしてのスパイスなのだと思いました。
個人的なベストは、幽霊アパートの謎に秘められた遺言(?)を解く、「ヴァナキュラー・モダニズム」。いやあ、馬鹿馬鹿しい(褒め言葉です)。
いよいよ吹奏楽部も新しいステージに入りましたので、シリーズの続きが気になります。
P.S.
裏表紙側の帯に「残念系美少年ハルタと、体育会系吹奏楽少女チカが、日常の謎を解く!」とあって、笑ってしまいました。残念系美少年、というのはおかしいのですが、体育会系吹奏楽って、ふつうでしょ、と思って...