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空想科学読本〈3〉

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ウルトラマンや仮面ライダーといった空想科学の世界を科学的に考えてみようという本。 第3弾 第1部 愛と友情の科学的真実 *ヒロインの正体1 「アルプスの少女ハイジ」のオープニングのブランコの考察。 ビデオで借りてきてみてみると、全体像は移っていないが、振り子の周期は視点からオモリの重心までの長さだけで決まる。公園にある2mのブランコならおよそ1.3秒。 ハイジの場合は測ると周期は12秒。ロープの重さまでいれて計算しても長さは37m。ウルトラマンくらいある。 静止させて分度器で測ると、最高点でロープの傾きは70度。落差は25m。 8階建てのビルから飛び降りるのとおなじで、最高速度は時速79km。 ちなみに東京ディズニーランドのスペースマウンテンは最高時速50km。 さらには足元に下界がみえる。ということは高さ100mで遊んでいるらしい。これでは口笛が遠くまで聞こえるのはあたりまえ。 世界一高い木は、カリフォルニアのセコイアスギでこずえの高さは110m、でもアルムノモミの木は、地上137mに横枝を張っているらしい。世界遺産間違いなしである。 このブランコに乗るには137m木登りをして、ロープを37m降りる必要がある。 アルプスの少女は精神力だけでなく腕力もすばらしい。 遊び飽きた後は、前方にジャンプして雲にのりペーターに手を振っていた。 竜巻でもないと人間の体重はささえられないが、竜巻ならペーターとヤギも宙をまっているばず。 現実的に考えるとハイジは雲をつきぬけて地上に着地するしかないはずだが、最も遠くまで飛べる傾き15度で飛びだすと、到達距離は106m、着地速度は時速180km。 これに比べたらブランコの速度は問題ないかも。 *ヒロインの正体2  北島マヤが芝居の切符を手に入れる為に大晦日に年越しそばを120件、12時までに出前した件を考察。 漫画によると、マヤは両手に岡持ちをさげ、セーターに短いスカートで、1度に6人前、8人前、10人前というソバを運んでいた。 しかもツユソバ、重さはザルソバよりずっと重い。筆者の近所の蕎麦屋でカケソバを測ってみると970gあった。8人前ずつ配達すると軽く10㎏あるだろう。 届け先までの往復を平均500mとするなら、120軒回った場合の合計距離は60km。横浜からさいたま市にいける。 夕方の6時から初めたとして、12時までは6時間、1軒にかけられる時間は3分だ。 筆者がパントマイムで届けた先でのあいさつから丼をならべ、お金をもらうまでに1分30秒かかった。半分である。 つまり、120軒の往復に使えるのは3時間。3時間で60km走れるなら女子マラソン優勝確実だ。平均時速は20km、しかも10㎏の荷物を抱えてである。 ツユソバをこぼさず運ぶために、マヤのとるべき姿勢は、両腕を真横に広げ、地面を蹴るときには体の重心が移動する分だけ岡持ちを押し下げ、逆に着地の瞬間には持ち上げる。マヤの身長が140㎝(このとき中1)、走る際の重心の上下動が20㎝なら、上下16度の運動が必要。 歩道いっぱいに腕を広げて上下動させながら時速20kmで失踪してくる少女。両腕が広がっているので歩道はいっぱいでよけることもできない。 少女の前を走りつづけるか、伏せるか、150㎝ジャンプするか・・・ 師走に会いたくない光景である。 こんな光景をみたらプロレスのスカウトにあいそうだ。 マラソンかプロレスか、どちらも演劇とは遠ざかってしまう。 *ヒロインの正体3 ラナが重りをつけられて海に落とされたコナンを救うため、縛り付けられたロープを食いちぎって地力脱出したのを考察。 ハイジの考察に使ったロープ(直径1.6㎝)を筆者が噛んでみたが、まったく歯が立たなかった。 人間がモノを噛む力はおおよそ70㎏で筆者の体重と同じなので、ロープにペーパーナイフをあてて全体重をかけてみても繊維一本傷つかなかった。 肥後の守で半分、カッターナイフなら両断できた。つまりラナの歯は、カッターナイフ並みに鋭いことになる。 しかし、これでは食事はおろか人工呼吸もできないので、ここでは顎が強烈としてみよう。 縄をほぐして繊維を取りだし噛み千切ると、5本まではできた。5本だと1mmに少し足りない太さである。これが70㎏で切れる限界と考える。 ラナの噛み切ったロープが、直径1.6㎝だとすると、1mmの16倍、断面積は256倍。ロープの強さは断面積に比例するので、ラナの咬筋の力は18トンになる。 これだけあれば、車のボディだってかじりとれる。 食品も柔らかくする必要はない。冷凍だって全然噛み千切れる。 しかも10㎝の狭い面積に18トンの力をかけられるのだから、ケンカでもしようものなら、ところ構わず食いちぎられるかも! ついでにコナンが塔に幽閉されていたラナを助けるシーンも考察。 ラナを背負った状態で外壁から飛んだコナンは10秒も落下。これは490mも落下したとこになり、着地速度は時速360km。新幹線にはねられたより深刻なダメージがあったはずだが、コナンはしびれただけで走り去った。 *ヒロインの正体4 ウルトラセブンを愛したアンヌの新婚生活を考察(実際にはセブンは故郷に帰ったけど) 家でくらいのんびりしたいと、身長40mのウルトラセブンのすがたで暮らすとどうなるか、テーブルの高さは20m、便器の深さは10m、とても共用はできない。となりにミニチュアサイズをおくとしても、距離がすごいことになるので、別のところにアンヌ用に一揃い揃えるしかないだろう。家庭内別居である。 しかも掃除はアンヌには無理だから自分でやってもらうしかないだろう。 家の大きさは2Dk40平方メートルの24倍なら2.2ヘクタールでサッカーコート3面分。 家賃は4400万円。ウルトラ警備隊の経費で寮でもたててもらわないと・・・ やはり、セブンにはダンの姿で暮らしてもらうしかないだろう。 宇宙人と暮らすからにはいろいろあるだろうが、熱をだしたとき、ダンは「脈拍360、血圧400、熱が90度近くもある」といっていた。 こでは看病もできないだろう。 2人の年齢差は1万6980歳弱。話はあうのだろうか? さらには、寿命も短いので、妻が死んで10年後に再婚してウルトラの父の年まで結婚するとすると、生涯で迎える妻は2400人。 さらには生まれてくる子供が(染色体が交配可能だとして)巨大だったら母体が危ない。 必死で胎教して「仮の姿で生まれて来い」というしかないだろう。 *チームプレーの問題点1 集団ヒーローの構成がバラエティ豊かなのはなぜか? 集団で戦うヒーローたちのメンバ構成は歪んでいる。総勢5人で内訳は熱血漢・ニヒル・女子・ガキ・デブなのだ。 体格や能力を高いレベルでそろえたほうがよくないか? 電磁戦隊メガレンジャーをとりあげて考察。 彼らは5人中2人が女子でガキもデブもいない珍しい構成だ。 しかも2組はカップルでレッドだけあぶれている。なるほど、これは伝統的構成ではおこらない問題だ。 もしレッドに彼女をつくって6人にしたら、敵と戦うまえの自己紹介が長くなってやられてしまうかもしれない。 彼らの運動能力も詳しく紹介されているが、みな異様にでかい。そして体重が軽い。女子2人なんてモデル並みにスレンダーだが、これで怪人と肉弾戦ができるのか? また100mのタイムが、男子3秒、女子5秒だが、これでは走るとき差がつきすぎる。 ジャンプ力も同じく。 もういっそ、個性はなくして同じコスチュームと名前にしたら自己紹介も短いし、コスチューム代も安いのではないか? でもこれはニセモノ攻撃に弱い。本物が1色なら、自分の色の偽物と戦えばいいが、同じ色なら区別つかないでしょ。 *チームプレーの問題点2 ガッチャマンの必殺技「科学忍法竜巻ファイター」から必殺技への貢献度を測る。 集団ヒーローのバラエティに富んだ人材5人組で、リーダーは例外なく正統派美男子の熱血漢である。 しかし「科学忍法竜巻ファイター」の貢献度では圧倒的にみみずくの竜の貢献度が大きい。 なぜなら一番下になって支えるだけでなく、あの回転を生み出すために走っているのだ、しかも後ろ向きに。 科学的に考察すると竜巻ファイターの回転は毎分2万5千回転。コンドルのジョーとみみずくの竜の走行速度はマッハ4である。 大鷲の健なんて、真ん中にたって号令かけるだけじゃん。 リーダーは竜を任命すべきである。 *チームプレーの問題点3 ボルテスVの足先に乗る紅一点岡めぐみについて考察。 集団ヒーローの戦い方として、「超電磁マシーン ボルテスV」のように全員で巨大なロボットを操るというのがある。 しかし搭乗する位置によって著しい不公平が生ずる。 ちなみに彼らの構成も、熱血漢、ニヒル・女子・ガキ・デブである。 ボルテスVの物語は地球侵略をもくろむボアザン星人が地球を爆撃、各国の迎撃が失敗する中、ボルテスVの面々は特訓中。 紅一点岡めぐみは、森の中で忍者装束で飛び回り、マシンガンをかいくぐって手裏剣をなげ、なぜか手裏剣でマシンガンを破壊。さらに爆風より速く飛びのいてみせた。 ちなみにだれも操縦練習をしていない。 だって出撃してから合体できるって教わるくらいの付け焼刃なんだもん。 で、合体したわけだが岡めぐみがのりこんだのは足である。 ボルテスVの蹴りがキックボクサー並みだった場合、岡めぐみが振り回されるスピードは時速1800km、マッハ1.5。 ボルテスVの脚の長さを30mとすると重力の870倍の遠心力が発生する。 さらにはマッハ1.5で敵と衝突した衝撃力は、同じくキックボクシングと同じとすれば重力の1万1千倍。 しかし、彼女は訓練の際、爆風より速く逃げていた。 通常爆風は秒速1500m、これに匹敵する速度でジャンプできるなら、垂直に飛ぶと高度は230km。 衝撃は重力の14万倍。なるほど、これなら足にいても楽勝である。 *チームプレーの問題点4 合体ヒーローはメンバー全員がそろわないと100%の力が発揮できないのは問題ではないだろうか? 超人バロム1は、小学生二人の友情力で変身するが、2人が近くにいて友情が燃え上がっていないと変身できないのだ。 かれらの友情を測るというジェットポップは、友情の熱エネルギーが200バロム以上でバロム1に合体変身できるらしいだ、単に体温計なら風邪を引いたときもへんしんできちゃうんじゃあ。 しかし、それより問題なのは放課後や夏休みだ。 習い事でバラバラだったり、5時過ぎで家に帰っていたらどうするか? 彼らは普通の小学生なんだから、彼らが地球のために働けるのは午後3時から5時までの2時間。土曜は1時から5時まで4時間。 週に22時間。これでは警察が毎日3時間9分しか開いていないようなものだが、大丈夫なのか? 夏休みなんて、どちらか一方か親の田舎に帰っていたりしないのか? 小学生二人に世界の平和をまかせるのは危険すぎる。 ウルトラマンAに変身する北斗と南はどうか? このふたりは同郷なことがわかっているので、帰省しても問題ない。 しかもリングをもらってからTACの隊員になっているので、勤務時間も大丈夫。 しかし男女が職場でいつもいっしょというのは難しい、お揃いのリングなんかしてたらあからさまだしね。 それに後半は北斗ひとりで変身していたんだから、最初からそれでよかったんじゃあ。Aが弱くなった様子もないし。 もともと二人が選ばれたのは、二人が身を挺して超獣から子供たちを守ったからだけど、もし自衛隊員一個連隊だったら? Aは400人の合体変身なのか? 変身のためだけに複数の人間を起用するのは危険だ。もし選ぶなら時間が有り余っている遊び人のカップルとかにすべきである。 それはそれでちょっと不安か・・・ *空想科学的生命1 帰ってきたウルトラマンにでてきた暗黒怪獣バキューモンはなんと北斗七星を飲み込んだ。 しかし、星は実際には恐ろしく離れているのだ、これを順々に飲んでいくとなると光より速く移動できないといけない。 これは無理なので、バキューモンは恐ろしく大きいのだと仮定してみよう。すると身長は最低90光年となる。巨大だ。 さらに、物語では1日も立たないうちにかに座で二番目に明るい星を飲み込んでしまう。 バキューモンの体は北斗七星からかに座まで伸びていたことになるので。巨大にもほどが・・・ でも、他の星はのみこまれていないのだから、当然まわりこんだわけだ、そうするとバキューモンの全長は1万7千光年で銀河系のほぼ2割。 だいたい、かに座飲み込まれたといっても、光の速度があるから、218光年離れたかに座が飲み込まれたのは218年前なんじゃあ・・・ このバキューモンに対してウルトラマンは体内に飛び込んでウルトラブレスレットを20mサーベルに変形させて暴れて、星を吐きださせている。 20mのサーベルで刺されても1万7千光年の相手なら、人間が原子の直径の100億分の1という感知不能な針でさされるのと同じなんだけどなあ。バキューモンは相当デリケートだったらしい。 それにしてもバキューモンが死んでも、体重は変わらないはずで、これだけ大きいと、すべての宇宙の物質はバキューモンに集まりだして150億年の宇宙の歴史がまきもどされちゃう。 *空想科学的生命2 3つの首を持つキングギドラは、見かけどおりに強いのか? 普通に考えると3つの首を三方向にむけて破壊光線を発射すれば無敵そうだ。 しかし、ゴジラと戦ったときには、ゴジラ、モスラ、ラドンの攻撃にいちいち身体ごと向き直って対応していた。頭が悪い。 怪獣図鑑によると3つの首はそれぞれ脳をもっているが、それを統制する脳はないらしい。 戦い方からみても、脳がみんな同じ判断をして同じ行動をしているように見えるから、食欲もいっしょで首同士で取り合いをするんじゃないか? そして3つの脳が満足するまで食べれば腹は適量の3倍をいれてしまう。尻がかゆいときも、誰かかいてくれると首同士でゆずりあってしまうんじゃないか? 首が3つある利点は立体視ができること。両側の首を目いっぱいひらいて、真ん中の脳で処理すると、距離感は240km。 ラドンにだって対応できるはず。 でも、これも協力があってこそ、3つの首の信頼関係がないとね。 *空想科学的生命3 生物である怪獣が合体しても果たして強くなるのか? ガメラの宿敵バイラス星人は、人間とさして変わらない体格から合体して身長96m、体重120トンの巨大怪獣バイラスになった。 普通のバイラス星人は3mだから、この大きさになるには3万3千人。 しかし、この星人、知能指数が2500もあるそうだから、3万3千台の戦闘機で集中砲火したほうが効率よかったのでは? ともかく合体して亀となぐりあっていた。 問題は体重だ、120トンを3万3千で割ると、一人当たりは3.7㎏軽い。こんなんじゃ合体したら足のバイラス星人はつぶれちゃうんじゃあ。 しかしビデオでみると、合体前のバイラス星人は6人。怪獣怪人大全集によるとバイラス星人は1人増えると身長が2倍になるらしい。なるほど。 では、もう一人加われば、192m、12人で6100mで富士山を抜く、25人合体すると月に頭をぶつけ、85人で全宇宙の直径を超える。 これでは質量保存の法則は完全に無視されてしまう。 クラミドモナスという単細胞生物は、環境がいいときは単体で活動するが、悪いときは集まってパンドリナと呼ばれる多細胞形態になり、個々のクラミドモナスは一細胞として消化や生殖など専門的な機能をはたす。 バイラス星人もガメラ出現という環境の変化に対応したのだろう。それにしても、よりあつまったあと、脳になる部分はいいとしてシリになる部分は気の毒といえる。 第2部 それを当然と思ってはイケナイ!  *凄い乗り物1 空飛ぶ円盤はかなり小さい。アポロのサターンは全長111mだが、円盤はせいぜい10mから数十m。こんな宇宙船でする旅はどんなものだろうか。 大概の円盤は地球到着のときからでてくるから、地球に到達するまでの様子はあきらかになっていない、例外的に「宇宙猿人ゴリ」では主題歌で地球への旅路がうたわれている。 それによると、天才科学者ゴリは故郷の惑星Eを追放され、たまたま目についた地球へきたのだという。 彼の故郷惑星Eは、いて座方向に4万光年離れたガイシテス太陽系第5惑星であるらしい。 ということは、 1 惑星Eの重力を離脱 2 ガイシテス太陽の重力を離脱 3 何もない宇宙空間で可能な限り加速 4 太陽系に近づいたら安全な速度まで減速 5 太陽の重力に対抗してブレーキをかけながら太陽系に侵入 6 地球の重力に対抗してブレーキをかけながら、地球に着陸。 サターンロケットは全重量の9割が燃料だったのに、1だけですべて使い果たした。 6までやるには大量のエネルギーが必要だ。 ここは光子力エロケットにすべきだろう、重さは液体燃料の14億分の1で済む。 しかしパワーがないので、離脱と侵入には普通のロケットを使うとすると、ロケットの大きさは全高4万kmになってしまう。 ええい、原理不明だが、半重力を使ったとしよう。重力は距離の2乗に反比例した引力がはたらくなら、同じ方法で反発力を生むとして、円盤の到達速度は秒速45km、太陽と惑星がわれわれと同じくらいの大きさと仮定すると、地球から冥王星軌道までくらいの距離を4年2か月で旅行することになる。ようやくガイシテス太陽系を離脱だ。 光の99.999999%で飛ぶと4万年は円盤の中では6年8か月。 しかし、ここまで加速するには光子力ロケットといえども大量の燃料がいる。しかも加速と減速に必要なので必要なロケットの大きさは17km。 地球についたときは円盤だけだが、もとは大きなロケットだったといえよう。 それにしても合計15年地球までかかったことになる。円盤にはゴリと軍人のラーしかのっていなかったわけで、 おそらく身分の低いラーが日常雑事をやっていたに違いない。 ラーにしてみれば地球でNo2になるのが唯一の夢だったに違いない。 地球におりたっても、あの小さな円盤だけでは、再び宇宙へは戻れない。 しかし、15年の歳月をおもえば、もう宇宙旅行なんていきたくないんじゃないか? 宇宙人が円盤でやってきたら、長旅を考えていたわってあげようね。 *凄い乗り物2 「仮面の忍者 赤影」は戦国時代が舞台。それなのにライト兄弟より300年も速く空が飛べた忍者・白影の大凧は本当に空が飛べたのか? 「東映特撮大全」に定規をあてて、白影の身長から割り出してみると、タコの大きさは縦2.4m、面積は1.8m、面積は4.4平方メートルである。 さらには画面でみると凧は10度くらいしか傾いていない。最大揚力が生まれるのは35度なのに。 この角度だと長ーいロープも必要になる。傾き35度ならロープは180mですむのに、10度だと580m必要なのだ。 ロープの分もますます揚力が必要になってしまう。 そのうえ赤影や青影まで乗っていた回もある。これをすべて合計すれば290㎏、必要な風は秒速40m。台風だ。これじゃ敵も引き上げているのでは? 解決策としては、凧を大きくする、35度の傾きを保つ。決して他人を乗せないとなる。 縦4m、横3mなら風速10mで白影をもちあげられる。 ところで凧の操縦はどうしていたのか、おそらく地上の端は木にいs張り漬け、白影自ら上空で操作していたのだろう。 そうなると、赤影、青影がピンチになっている場所を調べると風上にまわり巨木をみつけてロープをしばり、凧があがったらロープを伸ばして現場にむかうことになる。 でも、風向きが変わったら地上に降りないといけない。風速10mならロープは250㎏の力で張っているので、これは歩いた方が早いくらいだろう。 敵の忍者にしても、凧があらわれたら風上に移動すればいいだけだし、余裕があればロープをたどって切ってしまえば簡単に撃退できる。 案外不便だなあ。 *凄い乗り物3 トリトンはイルカに乗って7つの海を旅した。それはどんなものか? イルカは哺乳類なので泳ぎ方がまったく違う。尾びれを上下させて泳ぐのだ。だから背びれの後ろに乗るより前に乗った方が安定するし、さらには後ろ向きに乗るのが一番安定がいいし、イルカも楽。 イルカのルカーの体調を3.4mとすると、尾びれの上下幅は26㎝、意外と大したことはない。問題は回数だ。 尾びれを振る回数は速度に比例するが時速60kmなら毎秒6回だ。もっとも低い地点では重力の19倍もの力で押し上げられる。常人が耐えられるのは重力の7倍というから失神したトリトンは、毎秒6回股間を連打されてしまう。 これを避けるためには1秒に1回におさえるしかないか、これでは時速10kmとしかでない。 これでトリトンが行った7万6千キロの冒険をするとなると、2年以上かかることになる。これでは旅ではなく漂流だ。 こんな長期にわたって、食料は魚を剣でさばき、水は蒸留器もなく、日射をさけることもできなくてどう行うというのか? トリトンはポセイドンの魔の手から世界を守るために海上保安庁に電話すべきだったろう。 *凄い乗り物4 銀河鉄道999の旅は快適か? 銀河鉄道999は地球ーアンドロメダを走る夢の鉄道。距離は22万光年、2130京km。JRの総延長の1京倍である。 主要幹線1本でこの長さだが、さらに支線があるだろうから、総延長はもっとあるだろう。 この鉄道網はメーテルや車掌さんの説明によると、無限空間軌道と呼ばれる目に見えないレールが敷かれていて、空間シールドバリアで守られているという。 漫画の73話「ルーズゾーンの妖怪」では999が直径5mの透明なチューブの中を走っているシーンがあった。 星々は透明チューブでつながっているわけだ。 しかし、惑星は自転しながら公転している。チューブでつないだら自転するたびまきとられてしまう。 伸び縮みするという考え方もあるだろうが、物語では地球の次に火星にとまるのだが、その距離は5倍に変化する。チューブがブチ切れてしまうかも。 別の方法として、宇宙空間に幹線チューブを引いて、穴をあけておき、それと切り離された支線チューブを惑星に設置、支線チューブと幹線チューブが出会う瞬間、999は乗り移るというやり方が考えられる。 こういったチューブを地上からくみ上げていくと自重でつぶれてしまうので、ものすごーく長いチューブをつくり、自転による遠心力でピンと張る構造にする。 こうして作ると地球の場合支線チューブは14万km、回転するチューブの先端速度はマッハ32。支線と幹線が出会う時間は0秒0091である。 こんなタイミングで乗り移るんだから、999が出発時間に厳格で、停車時間はその星の1日というのも当然かも。 ところで、主人公の星野哲郎は、999の窓をあけたり、落下したりしていた。 こんなことができるのはチューブ内が空気で満たされているためである。 しkし、225万光年のチューブに空気をいれると1気圧にたもつと5垓トンの空気が必要だ。地球の空気すべてでも5300兆トン。これで必要量の9万5千分の1。地球クラスの惑星9万5千個を滅亡させたのだろうか? だいたい空気なんか入ってきたら抵抗がうまれて速度が落ちてしまう。 そこを銀河鉄道がかっとばしたら、猛風と衝撃波で999が空中分解してしまう。これを避けるには999と同じ速度で空気も動かすしかない。そうすると発射した後の惑星は空気が吸い出されしまう!これでは999が出発したあと全人類が高山病そして窒息死である。 やはりチューブを支線と幹線にわけておいて、幹線のみ空気を動かした方がよいようだ。 それでも真空の50京倍のエネルギーが必要になる。これが窓をあけてもよいためのサービスだとしたら・・やりすぎでは? *音の使い道1 絶対絶命のピンチにヒーローを呼ぶのは空想科学世界の常識だ。 だが、マグマ大使を笛で呼ぶのは正解か? マグマ大使がマモル君に渡した笛は、1回吹くと子どものガムが、2回吹くと妻のモルが、3回吹くとマグマ大使が現れる。 こんなとりきめにしたのでは、マグマ大使一家は団らんできないだろう。 1回目でみんなに緊張が走り、2回目でガムは胸をなでおろし、3回目で妻はソファでくつろぎ、夫は出かける支度にかかる。 だいたい、3回吹く予定が、1回目でマモル君が笛を奪われたりしたらどうするんだ。ガムは思わぬ強敵にあって死んじゃうんじゃないか? もう一つの音の問題点は遅いことである。 光や電波に比べて87万分の1でしか届かないのだ。 ウルトラマンは200km離れた地点におちた針の音をききわけるが、その音がかれのところに届くまで9分42秒かかるんだから、変身とけちゃうって。 マグマ大使の一家は太平洋上の火山島に住んでいるのだが、マモル君はここまでSOSを発信しないといけない。 ビデオで測ると、マモル君の笛が鳴ってからマグマ大使が飛び出すまで1秒92、わずか660mである。 しかしマグマ大使が飛び出してから1分8秒たっても現場につかない。マグマ大使はマッハ10で飛べるはずなのに、方向音痴なのか? まあ、演出の都合で音の届くところはカットさrていたとしても、マグマ大使が現場まで1分10秒かかるなら、笛の音が届くまでは11分40秒かかったはずだ。12分も怪獣にいたぶられたマモル君は大丈夫だったのだろうか? *音の使い道2 人造人間キカイダーのプロフェッサー・ギルは、笛の音でロボットを操る。 この笛を聞くと不完全な良心回路をもつキカイダーは苦しむのだが、これを検証。 悪の秘密結社ダークは、ギル教授がつくった人造人間とよばれるロボットで構成されている。 彼らは基本音声入力(日本語の命令)で動くし、感情らしきものもみえる、驚くほど優秀なのだ。 しかし、これをつくったギル教授が楽しそうに会話しているが、自分のプログラムとしゃべっているようなものじゃないか? ともかく、こんなに優秀なら遠隔操作はマイクと無線でいいのに、なぜか笛。 メロディが信号なのか?サブリミナルのようにパルス信号が挟まれていたのかは謎である。 しかし音は遅い。現場が秘密基地から10kmはなれていると命令が届くまで29秒かかる。これは不便。 ビデオでみると教授が笛をふいていたのは秘密基地の地下。普通の人間も反応していたから、だれにでも聞こえる音だったわけだ。 秘密基地の天井と土の層を突破してきこえたんだから、よっぽど大きな音で拭いたに違いない。 天上が50㎝のコンクリート、土が2mで計算しても外にでるまで82デシベルも下がってしまう。 笛の周波数を500ヘルツ(縦笛のラが440ヘルツ)とすると、10km先に通常の会話60デシベル程度の音を届かせるには笛の音は1mの距離で222デシベルで吹かないといけない。こんな音をきいたらダーク一味は失神してしまう。 しかも1秒間に1900億Jのエネルギーを出すから、TNT爆薬2300トン東京大空襲なみの破壊力をだしてしまう。 こんな破壊力があるなら、笛で東京を焦土にできる。 ま、破壊されるのはダークの秘密基地が先だけど。 *音の使い道3 空想科学世界の最強は「キン肉マン」の脇役。 ギルが教えてくれたが、音を武器にするのは強力だ。 「少年ジェット」のミラクルボイスは巨木を倒したりしたようだが、古すぎて詳細は不明。 「怪傑ライオン丸」は「蕾音声」とう武器で戦っていたが、暗黒魔人が倒れるくらいの音なら味方も倒れるのでは? 暗黒魔人が人間と同じ130デシベルでKOされるとしたら、周囲1立方メートルにつき毎秒10Jのエネルギーが流れていた。 音はライオン丸の口から半球面状にひろがって、半径100kmなら1300億立方メートルに広がっている。 この半球面状に1立方メートルに1秒当たり10Jのエネルギーだから総エネルギーは1秒間に1兆3千億J、TNT爆薬300トンである。 これではうっかりしゃべれないのでは? 至近距離なら直径200mの岩をくだき、一日中叫び続ければ富士山も粉々にできるだろう。 音のエネルギーは想像以上にすさまじい。 キン肉マンにでてきたステカセキングはベルギー出身の21歳。身長214㎝で体重700㎏、必殺技はヘッドホンで相手の耳をふさぎ、無理やり100万ホーンの音を聞かせる「悪魔のシンフォニー」 対戦したキン肉マンのマスクには遮音装置がついていたものの、10万ホーンにしか耐えられなかったので苦戦するが、漫画では流していた音楽が落語にかわった(ラジオだったらしい)のでキン肉マンが元気になって勝利していた。 ステカセキングは、超人仲間からも一番弱いと酷評されていた。 しかし、100万ホーンはデシベルに置き換えると100万デシベル。 ゼットンの1兆度の火の玉でさえ半径200光年の範囲を死の世界にするのに、悪魔のシンフォニーはそれを9万9943桁上回るのだ。 全宇宙に放射されるエネルギーを9万9936桁上回っている。 空想科学世界の最強はステカセキングでまちがいない。 *怪しい決め技1 ウルトラマンタロウの必殺技ウルトラダイナマイトは、自分自身が吹き飛んだあと、再びよみがえるという大技。 これができるのはウルトラ心臓を持つタロウだけであるという。 しかし、ウルトラ心臓を持つのがタロウだけなら、どうやって確かめたんだろう? ともかく、この技を観察したところ、爆風から割り出した威力は爆薬4.7トン分。タロウの体重の0.009%。意外と弱い。 しかも相手に与えるダメージは爆風だけ。こんなことなら時速1240kmで走れるんだから体当たりしたほうがよっぽど効果的だ。 こんな弱い技を繰り出した後、無防備なウルトラ心臓だけになってしまってどうするんだろう。相手が無事だったら心臓が無事ではすまない。 この技をつかうと寿命は20年縮むそうだが、それはウルトラの一族の寿命にしたら1万分の一なんだから、そりゃ平気そうだ。 ちなみに体重は4.7トン減るはずだから、タロウの体重5万5千トンに対して1万回つかうと体重は8千トンになるんで、そりゃ死んじゃうだろうな。 威力はともかく、出せる回数は妙に合理的だった。 *怪しい決め技2 斬鉄剣は本当になんでも切れるのか? 材質についてだが、これはダイヤモンドだとしても、困ったことに鉄の塊は切れない。 そもそも硬いとは、結合が強いということで、変形して衝撃を分散できないということ。鉄を切ろうとしたらダイヤモンドが砕けてしまう。 というわけで、材質は五右衛門のご先祖様が新しい合金をつくったことにしておいてくれ。 斬鉄剣で鉄砲の弾は切れるか? 弾の材質は鉛だから、これを切断するのに必要な力は230㎏。プロ野球の選手のフルスイングは1トンに達するらしいから、これは十分可能だ。 ただし、ビデオで見るように弾がその場におちることはない。 ピストルの弾丸は時速910kmで飛んでくる。これを切るのだが、弾丸にブレーキをかけられるのは切っている間だけ、230㎏の力で18gの弾丸に1.8㎝進む間だけブレーキをかけることになるが、切れた時の時速は880km。切れた鉛の弾丸は五右衛門の顔に命中するだろう。 回避するには真正面で弾丸をきって、安全な範囲にはいるしかない。 筆者の計算では17㎝の間隔が安全地帯だが、筆者の顔面の幅は20㎝、ちなみに妻が16㎝。 なるのど、五右衛門は細面だから斬鉄剣が使えるのね。 ただし、安全地帯をつくるためには思いっきり腕を伸ばして可能な限り前方で玉を切るしかなく、周囲にいるルパンたちは危ないけど。 車を切る方が安全そうだが、走っている車をきっても弾丸と同じことがおきる。ここは止まっている車にターゲットを絞ろう。 この場合問題はエンジンだ。筆者はエンジンとして一変50㎝、板厚10㎝の鋼鉄でできた立法体を想定。 これを着るのに必要な力は8800トン。これは五右衛門でも無理では? 剣の達人が常人では切れないものを切るのは、切る瞬間に刀を手前に引いて動かす距離を伸ばす。するとテコ同様小さな力で切れる。 1トンの力で8800トンの切断力を発揮するには、物体の大きさの800倍手前に引けばいいから刃渡り4.4kmの斬鉄剣で切ればいい。 そして切断するとき4.4km後方に後ずさりする。必要な速度はマッハ100。1分50秒で地球一周できる。 *怪しい決め技3 ビームサーベルは実用的か? そもそもビームとは方向を揃えて飛んでいく光や粒子のこと。 この一番の売りは速度だから、遠くから相手を狙撃すればいいので、なんで肉弾戦で使用しているんだろう? そもそも相手の剣をうけきれないんじゃかいか? ガンダムではこのビームは、ミノフスキー粒子という未発見の素粒子らしいが、そうなら相手と触れるたびに核反応してしまう。 ここはスターウォーズと同様にビームということにしておこう。 この剣は1m位の長さで止まるが、ビームは直進するはず、この長さで止めるには鏡をおいて反射させるしかないだろう。 そうじゃないとビームサーベルの伸びている方向なら見方でも切ってしまう。 ラジオのアンテナのように鏡をつけた棒が伸びて剣をつくることにすれば、見かけは光がのびているように見えるはず。 そして何本ものレーザー光線がよりあつまって威力も向上する。敵と対峙している間も反射するレーザー光線はエネルギーを蓄えられて合理的。 これならチャンバラも可能。 ただし絶対に曲がらない棒は存在しない、そして棒が曲がるとレーザーがずれてしまう。へたしたら自分の脳天を直撃だ。 なんで刀でも殺せるのにビームサーベルなのか? いや、棒でもダメージを与えられるはず。 ガンダムは人間のスケールの10倍だから、棒も10倍にして鋼鉄製にすると棒は7トン。ガンダムの出力1900kWだから、棒をフルスイングしたらヘッドスピードは120km。 トラックは7トンで120kmくらいでるから、棒でダメージを与えられうなら、トラックと衝突したら壊れるってことか・・・これもいやだなあ。 やっぱり飛び道具にしたら? *怪しい決め技 「必殺!仕事人」の三味線屋の勇次の殺し方は合理的か? だいたい商売道具を殺しの道具にするなんて、正体がばればれじゃん。 こんな死体がでたら奉行所の役人は三味線やを捕まえてきては拷問するんじゃあないか? しかし、筆者が一番強い三味線の糸をデパートで買ってきて実験したところ、とても人間は吊り上げられないとわかった。 三味線の糸は絹糸をより合わせて膠でかためてあるそうで、直径1mmの絹糸で支えられる重量は21㎏。これでは無理なわけだ。 ということは、奉行所も三味線糸を使っているとみせかけて、実は他の仕事のやつが犯人だと思うだろう。さすが。 勇次の糸は特注品と思われるが、作った人もすでに始末されているに違いない。完璧である。 さて、この糸を相手の首に巻いたあと、勇次は鴨居をジャンプして飛び越えて鴨居を滑車代わりに自分の体重で相手を持ち上げている。 糸は斜めになっているが、これはマズイ。全体重を断掛けられない上に摩擦が減少して踏ん張りがきかない。 こんなことができるにためには勇次の体重がものすごく重い必要がある。 悪人は大抵太っているから80㎏と見積もると、有事の体重は308㎏。 こんなヤツが江戸をうろうろしていたら相当目立つし、奉行所も犯人が百貫デブだとわかれば、すぐ捕まえてしまうだろう。 第3部 ちょっと待て! 空想科学の大偉業 *大自然に勝つ1 津波怪獣しーごらすが伊豆沖で起こした巨大津波が東京にせまったとき、ウルトラマンは海岸でバリアで津波を押し戻してしまった。 津波の破壊力は盛り上がった水の圧力である。 津波を幅1mに釘って考えると、波の上から下までの合計水圧は波頭の高さの2乗に比例する。 シーゴラスが起こした津波はウルトラマンの身長を超えているから50m。人類始まってから最大だろう。 そして波を壁でうけとめれば高さは2倍になる。100mの水圧は1mあたり5千トン。東京湾を20kmとすると全体では1億トンの力をもつ津波を体重3万5千トンのウルトラマンが押し返した、自重の3千倍である。 しかし、押し返された津波は東京の対岸千葉へ向かうはず、いやそもそも東京湾に到達するまえに千葉や神奈川も津波に襲われたはずだが、そっちはいいのか?千葉なんてウルトラマンのせいでダブルパンチだ。 津波の高さは距離は反比例するから、各地の津波は那覇5m、根室7m、種子島9m。潮岬23m、御前崎76m、小田原82m、下田172m、神津島408m。特に御前崎には原子力発電所があるから、ウルトラマンが守るべきはこちらだったのでは? とうわけでウルトラマンのやるべきことは日本全国を飛び回ってバリアを張り続けるしかない。すると今度はチリが危ない。 地球全体の平和を守るには、チリにもバリアをはらないといけない。ウルトラマンの飛行速度はマッハ5だが、活動時間は3分なので航続距離はわずか300km。1万7千km彼方のチリに到達するには連続変身58回である。 しかもチリでバリアを張ったら、次は日本でバリアを張る、これを津波がエネルギーを失うまで繰り返さないといけない。 その間怪獣はほったらかしだ。 *大自然に勝つ2 大魔神は湖の水を割って、湖底を歩いて登場する。モーゼ並みである。 彼の身長と体重は本によってバラバラなんだけど、筆者が密度からもっともふさわしいと思われる、身長5m、体重6トンだったが、画面で見ると人間との比率から5mとは思えない。よって15mで50トンを採用することにした。密度が軽すぎるがきっと軽石でできているんだろう。 大魔神は不戦を貫く領主の領土に攻め込んで、領主の娘を火あぶりにしようとした戦国武将を、領主の娘の祈りに応える形で破壊された武神像が湖をわって現れるというもの。 しかし諏訪湖なんて最大深度7.6mなのに堆積物は400mといわれているのに、湖底なんて歩けるのか? これはおいといても、湖を割った影響のほうが深刻だ。 押しのけた水は当然周りの水の高さを上げたはずで、映画で見ると大魔神の周りの水の壁は45mくらい、湖底は30mほど出ていたから押しのけた水は5400万トン、直径4kmの円に広げると水面の高さは4㎝3mm上昇する。 たいしたことないと思われるが、問題はこれを10秒でやったことである。これでは波がたってしまう。 波の速度は水の深さによって決まる。水深45mなら時速76kmだ。 この時速だと波頭の高さは6.4m、湖畔の村まで15分52秒。大魔神は湖底に沈み、津波がやってくるということだ。 *大自然に勝つ3 スーパーマンは大自然相手でも腕力で立ち向かう。 筆者がスーパーマンⅣを鑑賞したところ、核ミサイルを廃絶するために、世界中の核ミサイルを宇宙空間に運びだしてひとまとめにするとハンマー投げのように太陽に放り込んでいた。太陽は大丈夫か? 太陽からは1秒間にビキニ水爆60億発に相当するエネルギー化がででいるから、エネルギーはたいしたことはないが、問題は太陽まで届く速度である。光でさえ8分40秒かかるのに、どうみてもそれより速く太陽に到達しているから、スーパーマンの腕力は宇宙を総て破壊してもオツリが来る。 さらには悪の戦士が火山を爆発させると、目から光線を放って隣の山を真ん中あたりから切り取ってひっくり返して火口にふたをしていた。 噴出するマグマを無理に抑えてもいつか大爆発するが、気にしてはいない。 さらには悪の戦士が太陽エネルギーで活動しているのを知ると、月を太陽との間のもってきて日食を起こしていた。 月は地球の周囲を秒速1.4kmで公転して遠心力と重力のバランスでその位置にいるんだから、停止したら地球に落ちてくる。 地球は一体何回滅びるのだろう。 なんと第1作では巨大地震を腕力で鎮めていた。地震は悪人ルーサーが放ったミサイルがカルフォルニアのサン・アンドレアス断層を直撃して発生。 科学的に考えれば自身がおこる前にプレートのたわみを矯正するくらいしか思いつかないが、映画では地震がおこってから地下の岩盤をもちあげていたらしい。たわみが放たれて地震がおこるんだから、これではまたたわみがおこってしまう! さらには恋人が死んだので時間を逆行させようと地球の自転を逆まわしにする。これは無理。デートに遅れそうな青年が時計をこわして安心するようなもの。恋人が生き返らないのはともかく、地球は時速1700kmの自転を止められて、地上は急停車した電車の車内のような猛烈な衝撃を受ける。10秒で自転を止めていたから、重力の5倍の力が真横からかかったことになる。建物は根元からぽっきり折れて上は東へ飛んでいくだろう。人間や車は東に滑り出し、停止するおは280kmかなた。逆回転が始まると同じ方向へ280km飛ばされ、本来の方向に自転し始めると560km滑って元の場所に戻ることになる。 しかし海水も往復するから濁流となって地表に遅いかかる、人間は1人でも生き残れるのか? 地下のマントルも影響をうけるから、大流動がはじまって火山は噴火。大陸は大移動だ。想定される地震の規模はマグニチュード16.8。 最初に地震を止めたのはなんだったかのか・・ *巨大建造物1 宇宙船は小さいのが一般的だ。宇宙戦艦ヤマトは260mもあるんだから大きい方だ。 では白色彗星帝国の直径15kmの宇宙船は強いのか? 白色彗星帝国の宇宙船は半状球の土台の上にビルが立ち並んでいた。真ん中が一番高いようだだが、全高が10kmというから、半球部分は7.5kmでビルの高さは2.5km。延べ床面積は300億平方メートルになる。 都庁の床面積は20万平方メートルで職員は6800人。同じ密度なら兵力は10億2千万人。ヤマトをやっつけるくらい余裕である。 しかし、宇宙を征服するにはこれでも小さい。銀河系の直径でも10万光年。 わずか15kmの彗星帝国で征服するには、1秒に1個ずつ征服しても1千兆年かかってしまう。壮大だ。 惑星の破壊方法は彗星の周囲からガスが噴き出してバリアになり近づくすべてのものを破壊するらしいが、一瞬で星を砕くガス流なんて、すぐにガス欠になってしまう。重力を使うのが現実的だ。 しかしこの方法では自分が相手より大きくないといけないのだが、彗星帝国が破壊していた星は球状だから直径300km以上はあったはず、しかも直系の20倍くらいの位置で破壊されている。となると彗星帝国に必要な質量は1200京トン、地球の0.2%だ。 こんなに重力があったら、彗星の中心には地球の2千倍の重力がかかる。高さ1mのテーブルからペンを落とすと時速730kmで足につきささるだろう。戦闘機は飛びたてず、ミサイルは戻ってくるんじゃないか? でも画面では彗星帝国の人たちはふつーに生活していた。とういとこは彼らは2千倍の重力に耐えられる! これに対してヤマトの戦術はコスモタイガー数十騎で侵入しての白兵戦。 重力2千倍のところに着陸しようとしたら爆発炎上、降り立っても立つこともできまい。 ヤマトはどうすればよかったか? 実はなにもしなくても、彗星帝国が砕いた星は彗星帝国におちていくので、それを見守っていればよかったのである。 火星が砕かれれば自重の200倍の岩石がマッハ47で彗星帝国に降り注ぐ。岩石は衝突のエネルギーで溶融し、彗星帝国はマグマに沈むだろう。 宇宙征服するには小さすぎたのだ。 *巨大建造物2 彗星帝国が小さすぎるなら、スターウォーズのデス・スターはどうか? 直径120kmの威容を誇り、東京上空に飛来したら、神奈川埼玉千葉まで影を落とす。 目標は宇宙征服ではなく、銀河征服だ。これなら現実的なのか? 7千機の戦闘機、2万の輸送艇、1万1千の戦闘車、5千のレーザー砲塔を装備したデス・スター。 映画の中にでてくる設計図によると中心は直径10kmの原子炉である。放射能遮蔽壁などを計算にいれると、表面から地下55kmまである。 高さを平均5mとすると1万1千回建てである。 こんなにでかいと不便なんじゃないだろうか?ランドマークにある世界最速のエレベーターでも1階から1万1千階までだと1時間13分。これはノンストップの場合である。 敵が侵入したら各階停止にしたりすると到着するまで閉めるボタンを1万999回押して、5日目の7時間後に到着だ。途中で死んでしまうのでは? 自分の要塞で遭難していたらとても勝利はできない。 このよう際には120万人の兵士がいたという。人口密度は1キロ㎡あたり0.007人。少なくないか? 3交代なら担当地域は450キロ㎡、横浜市を警官一人で守るようなものである。 SOSを発しても仲間がくるのは40分かかるのだ。だいたい隣の仲間は見えない、デス・スターは球形だから。 これでは侵入し放題のザル要塞である。 *巨大建造物3 機動戦士ガンダムのスペースコロニーには平和利用のためつくられた巨大建造物で、空想科学の世界では珍しい。 直径6.5km、長さ30kmの円筒形をしていて、内部は地球と同じ環境で1万人が暮らすという。果たして可能か? 円筒の側面にそったスリット状の窓から太陽光を取り入れ、内部には川や湖があり植物が繁茂している。光合成できるのだろう。直径6.5kmなら雲ができるから上空にいくほど気温が低くなる工夫で雨も降る。水と空気が心配ないとはすごい。 重力は遠心力で再現する。円形なので人々が暮らす壁面には均等に重力が働く、地球と同じ重力を生み出すには1分54秒で一回転すればよく、外壁は時速640kmで回転しているので、人や車が走っても感じる重力に変化がない。これが直径100mなら、逆方向に時速80kmで走るとうきあがってしまう。実に合理的だ! 不安があるとしたら壁の薄さだ。ザクが侵入するシーンで測定すると外壁の厚さは30cm。これで1気圧に耐えるには最強の鋼鉄・マルエージング鋼しかないが、それでもかかる圧力によって伸びてしまう。つまりスペースコロニーは真空の宇宙でパンパンに膨れ上がっているはずである。 これでは側面の半分を占める窓が心配だ。ガラスは金属より伸びに弱い。厚さで補うと11m。30cmと11mのつなぎ目も心配だが、もっと心配なのは光がとおるかだ。計算ではコロニー内の明るさは2ルクス。暗すぎる!光合成もできない! ひとまず壁はおいといて、コロニー落としを考える。 ジオン軍がコロニーの一つを地球に落とし、オーストラリアや来たアメリカに甚大な被害をあたえたという作戦である。 外壁30cmならコロニーの質量は15億トン、地球から38万kmに浮かんでいたとするから、大気圏で秒速7800m。 しかし大気圏で空気抵抗をうけてブレーキがかかる。画面では底面を下にして斜めに突っ込むコロニーがかかれていたが、姿勢から計算すると5兆トン空気抵抗をうけていたはず、空気摩擦で燃え上がり失われる鉄は300億トン。燃え尽きちゃわないか? やっぱり壁がもっと厚いんじゃないか?地球突入にも耐えるくらいの壁の厚さを計算すると120m。必要な鉄は地球の埋蔵量の4倍。はて・・・ *恐怖の天体衝突1 アメリカ映画「アルマゲドン」では小惑星が地球に迫り、「ディープ・インパクト」では彗星が地球に襲来、どちらも核爆発による天体破壊と軌道変更をおこなって危機を回避した。 しかし、1962年に作られた日本映画「妖星ゴラス」では迫りくる星の質量は地球の6千倍。解決策は地球ごと逃げる!だった。 しかし、大きさの差を考えれば逃げても当然だろう。衝突したら2億kmのクレーターがあく、当然地球よりでかい。 速度も冥王星軌道から地球まで4-5日。秒速1万3千キロである。空想科学のなかで最も脅威的である。 地球ごと逃げる方法は、南極にとりつけた直径500mのブースター1089本で海水中の重水素をエネルギーに核融合を起こし、100日間かけて地球を40万キロ動かす。これだと加速勢いは自由落下の100万分の1.1になる。ゴラスが通り過ぎたら今度は北極のブースターで地球をもとの位置に戻す。 ゴラスをギリギリ避けても重力があるので地球は砕けてしまう。その点40万キロは影響をうけない安全範囲。しかも加速も許容範囲だ。海水中の重水素も46兆トン、必要な17兆トンに足りている。実に合理的だ! しかし、地球の質量は60垓トン。6600兆トンの推進力がなければ、地球の自由落下の100万分の1.1の速度は得られない。 南極の大地はこの力に耐えきれない。ブースターは地球をつきぬけ自分だけ宇宙空間にいってしまう。というわけで解決策はブースターを増やすか直径を大きくして1㎡あたりの力を小さくする。 これでも問題はある。核融合で得られるのは熱エネルギーなのだ、これを運動エネルギーに変換しなければ推進力は生まれず、地球が暑くなるばかりである。そして熱エネルギーを100%の運動エネルギーに変える方法はない、どうしたって地球の気温はあがる。99%が運動エネルギーに代わっても100日後の気温は3700万度。 さらには、ブースターで進むなら何かをふきださないといけないが、いったい何を吹きだすのか?空気も海水もまるでたりない、地表すべてを吐き出してすすむのか? というわけでゴラスがやってきたら覚悟を決めるしかないようだ。 *恐怖の天体衝突2 暴れん坊将軍吉宗のドラマに彗星衝突の話がある。 吉宗が望遠鏡で天体観測をしていたら、ほうき星を発見、呼び出された当代一の天文学者西川如見が計算した落下地点は日のと八王子の間の大和田村で被害は2里四方、時刻は今夜丑の刻というもの。 ちょっとまて、現代でも地球にせまる天体の軌道計算は複雑でコンピュータシュミレーションが必要なうえ、精度は1万km単位だぞ。江戸時代にそろばん一丁でこんなに正確に予測できるのか? しかも被害は直径8km、如見の描いた図面をもとにすると彗星は地球軌道の内側から後方45度で追突する。ということは秒速は28km、これで被害が8kmなら彗星のサイズはわずか10m。標準では1kmから10kmなんだから、すごく小粒だ。 吉宗が彗星を発見したのは、それから1か月前だから、地球から5600万km離れていた10mのものを発見したわけである。 水背は太陽に近づくと表面が蒸発し、同じ大きさの小惑星などより明るく見える、それにしても1千倍まであかるかったとして17等級の明るさである。 望遠鏡や肉眼でどのくらい暗い星が見えるかはレンズの直径できまるが、人間の目の動向は直径7mmぐらいに広がって6等級が限界だ。 17等級の星が見えるなら望遠鏡の直径は98㎝。現在のレンズを使った望遠鏡で最も大きいものでも1m2㎝なんだが・・・ しかも江戸っ子たちは衝突の3日前に星をみている。この時点で星の明るさは13等級だったはずだが、江戸っ子はよっぽど目が大きいのか? ところで吉宗はどうしていたかというと、彗星接近を機会に勃発したお家騒動と新興宗教の収集にあたって刀をふるっていた。いいのか? でも、後方45度から接近する天体が地球に衝突するなら昼の間のはず、午前3時なら日本は絶対に夜の領域だから、衝突時刻がただしいなら日本は完全に安全なんじゃあ。 ちなみに吉宗が天体観測していたのと、天文学西川如見が実在していたのは本当のことらしい。 *恐怖の天体衝突3 ウルトラマンにでてきた彗星怪獣ドラゴは地球に接近する彗星ツイフォンから飛来してきた。 翼は宇宙空間では役にたたないというのはおいといて、ツイフォンと地球の最接近距離は5万5860km。 彗星の速度は地球軌道付近で秒速40km、地球も秒速30kmで公転している。 ドラコの飛行速度はマッハ2だが、これは秒速0.68km。 彗星の速度+マッハ2で地球に迫るドラコの速度はマッハ150。こんな速度で2万トンのドラコが衝突したら地球に直径80kmの暴風がふきあれる。 地球に命中できなかった場合のドラコは宇宙空間に飛んで行ってしまう。 地球の重力に捕まえてもらうには速度秒速7.9kmで大気圏に突入しないといけない。 最も遅い速度で出発できるのは、ツィフォンが地球の後方からせまるときで、これなら彗星は地球に秒速10kmで接近していることになり、このとき彗星の進行方向と逆に飛び出せばよい。体勢は後ろ向き。このときの秒速は9.32kmとなる。 距離は5万5860km、これで近づくと加速されてしまうから、何かにぶつかって減速しないといけない。 これは地球の周辺を飛んでいる隕石しかないだろう。理想的なのは直径4mの隕石に80回尻をぶつけると秒速3.8kmまで減速できる。さらに、地球の周回軌道で27発を受ければようやく地球の大気圏に突入できる。 ここまで苦労して地球に到着したのに、彼を迎えたのは日本アルプスのレッドキングだった・・・あわれだ。 「ダンガードA」では光速の99%で太陽の周りを1億3千年かけて公転する太陽系の10番目の惑星が地球に近づき、その惑星プロメテに移住を計画するという話だった。大江戸博士は全人類の移住を、ドップラー総統はエリートだけの移住を計画して対立するというものだった。 プロメテの軌道は地球と火星の間を通過すると予想されていたが、これで本当に地球が破壊されるのか? 計算によるとプロメテの質量は地球の12倍。これだと地球が重力で破壊される距離は3万6千キロまで、しかし火星までは3800万kmある。本当に移住したほうがいいのか?破壊される確率のほうが、交通事故で死ぬ確率より低いぞ。 まあ軌道がねじまげられる可能性があるが、計算すると太陽から受ける重力の2千分の1だぞ。 ところでドップラー総統はプロメテが冥王星軌道を通過したと聞いて「勝利の序曲を奏でよう」とパイプオルガンなんぞ弾いていたが、プロメテは光速の99%で進んでいたんだから、観測から3分後には地球の地殻にくるぞ、いいのか?だって観測は光だからね。 太陽の周りを公転する天体は楕円軌道をかき、その速度は太陽からの距離に反比例するはず。 プロメテは地球と火星の間を通るとき、太陽に最接近すると説明されていた。太陽からの距離は1億9千万km。これで秒速37万kmあったら、太陽の重力をふりきってしまう。これを可能にするなら太陽が現実の6400万倍の質量をもっていないとおかしい。 というわけで、太陽がプロメテを公転しているとしてみる。こうすればプロメテが太陽の6400倍の質量をもっていても、楕円軌道からはずれないからだ。プロメテの公転周期を計算すると3万8千光年で銀河系の4割。銀河系のすべての星がお互いの位置関係をたもってプロメテの周りを公転しているということだ。なるほど。 ただ、これだけ質量があったら、地球も太陽もプロメテの重力で確実に破壊される。それどころかブラックホールになるんじゃないか? こんな惑星に移住できるのか?あと3分しかないけどさ。
空想科学読本〈3〉

空想科学読本〈3〉

  • 作者: 柳田 理科雄
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2000/07
  • メディア: 単行本

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