連城三紀彦/講談社/お薦め度 ★★★★☆
四編収録の短編集
いきなり連城マジックさく裂の「花緋文字」。前半は奥手の帝大生vs女たらしの帝大生、後半は奥手の帝大生の血のつながらない妹が女たらしの帝大生に絡み、自害。しかも妊娠していた・・・奥手の帝大生の復しゅう劇と思いきや計算された完全犯罪!?
表題の「夕萩心中」は官僚の妻とその書生の心中事件。前半は哀切な恋愛物語、後半は心中と内相の死に絡む夫。大仕掛けなマジックが待っている。
「菊の塵」、これが一番ミステリーっぽい作品。軍人の自害を解き明かす居候。時代背景という大きなトリックに驚愕。秀逸な作品!
ここまでは「戻り川心中」同様の哀切なレトロ浪漫。出色の出来栄え。
最後の「陽だまり課事件簿」は蛇足!