・有川浩著。 ・横須賀に突如出現した無数の巨大甲殻類、通称『サガミ・レガリス』。横須賀沿岸はレガリスに蹂躙され、多数の死傷者が発生。警察、自衛隊、研究者、官邸、米軍、ミリ(タリー)ヲタ(ク)は果たしてレガリスを駆逐することができるのか。そして潜水艦に避難した子どもたちの運命は。 ・有川浩の通称『自衛隊三部作』の一つだ。といってもメインは警察と機動隊になる。 ・先日横須賀を旅したので、横須賀モノの小説を読みたかったのです。 週末のyogi(so-net blog yogi) http://yogi.blog.so-net.ne.jp/2014-11-10 ・横須賀駅に近づいて、海が見えたと思ったら、見知った港ではなく、あからさまな『軍港』。そんな横須賀が戦地になった、そんな小説だ。 ・yogiさん以前から『若者が作品の中心人物になると、ストーリーを進行させるためにどうしても実年齢より頭が良い設定になってしまうのが不満』という話をしているんだけど、今回出てくる小中高生は、ほぼ等身大だ。多少ませてる気はするけど。で、思ったことは、『等身大の小中高生だけでストーリーを進行させようとすると破綻する』。ダメだ。泣くし、騒ぐし、遊ぶだけだし。今回はここに大人(自衛官2名)がいたから収拾がついたものの(だから作者も安心して等身大の子どもを描いだのだろう)、子供だけだったら早晩全滅しただろうなぁ。 ・"状況"を作って、周辺環境を徹底的に作り込んだというだけあって、yogiさんが『この時これはどうなっているのかな』とか、『この人はどう思っているのかな』『ここでこうしちゃったらあっちはああなるんじゃないかな』ということが尽く書いてある。想像の余白がない。いわばドキュメンタリー小説だ。有川浩はこの『読者が考えそうなことを先回りして書いておく』タイプの作家だ。時々窮屈に感じる。 ・女性作家の男性描写って、独特のものがあるんだよなぁ。ひぐちアサ的というか、塀内夏子的というか。ホモホモしいというわけではないんだけど、男性が読むと、『なんか違うんだよなぁ、なんか』と思う。 ・作者は『おっさん萌え』小説と言っているんだけど、yogiさん的にはなかなか『燃える展開』で楽しめた。 ・あと一冊(『塩の街』)も近いうちに読もうと思う。
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