『英連邦』 小川浩之 2012/07
著者は東京大学大学院准教授。 英連邦の成り立ちの経緯と現状についての本。
英連邦はCommonwealth of Nationsの訳。英連邦は、イギリスと過去にその帝国支配下に置かれた国々が中心となり、イギリスの君主を首長(Head)として共有しつつ、国家間のの自由な連合体としてまとまったものである。「王冠への忠誠と自由な連合」と表現される。
現在英連邦加盟国は54ヶ国。2年に一度英連邦首脳会議が行われ、イギリス君主が開会演説を行う。
イギリス君主を国家元首とし、総督がその代理人を務める国は、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど15ヶ国存在する。総督は現在も完全に象徴的な存在ではなく、非常時に首相の解任や議会の解散を行う権限を持つ。
かつての植民地で英連邦に一度も加盟していないのはアメリカぐらいか。アイルランドは1949年に脱退、ジンバブエも2003年に脱退した。パキスタンや南アフリカは一度脱退し、再加盟した。
英連邦諸国間では、お互いを「外国」とはみなさない。そのため大使ではなく高等弁務官(High Commissioner)が互いに派遣される。
1970年以降、パプアニューギニア、ナミビア、モザンビーク、ルワンダといったイギリスの統治下に置かれたことのない国々も英連邦に加わった。
1931年にthe British Commonwealth of Nationsとして発足した。1948年の英連邦首脳会議でBritishを外すことが合意された。
1956年にはフランスのモレ首相が英連邦加盟を試案として提示したことがある。1954年には吉田茂がエリザベスⅡ世との会見で、日本の英連邦加盟が好ましいと発言している。
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