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エルサレム解放

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 「エルサレム解放」 タッソ作 A・ジュリアーニ編 鷲平京子訳 (岩波文庫)  第1回十字軍における、キリスト教軍とイスラム軍の戦闘を描いた叙事詩です。  イタリア・ルネサンス期の詩人タッソの、大傑作です。  ずっと読めなかったこの作品が、抄訳ながら2010年に岩波文庫から出ました。  省略部分は、編者によって補われているので、とても分りやすいです。
タッソ エルサレム解放 (岩波文庫)

タッソ エルサレム解放 (岩波文庫)

  • 作者: トルクァート・タッソ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/04/17
  • メディア: 文庫
 キリスト側の大将は、ゴッフレード。冷静沈着で、完全無欠の騎士です。  天啓によって総大将となりました。常に天使が味方しています。  イスラム側の大将は、アラディーノ王。小心な老人です。  悪魔が見方しています。魔術師を使ったりします。  キリスト側の正義に対し、異教徒イスラム側の悪という図式です。  私はどちらかというと、侵略していったキリスト側が、悪だと思いますが。  ともかく最初から、正義であるキリスト側の勝利が、約束されています。  ところが面白いことに、魅力的な人物は皆、イスラムの女性なのです。  例えば、女戦士クロリンダ。  美しさゆえに、敵の勇者タンクレーディから愛されて、戦地では・・・  例えば、薄幸のエルミーニア姫。  敵の勇者タンクレーディに捕らわれながらも、彼を愛してしまい・・・  例えば、女魔術師アルミーダ。  敵の勇者リナルドに復讐を誓いながらも、彼を愛してしまい・・・  イスラムの美しき女性たちが登場すると、戦いの話が愛の話に変わります。  しかもすべてが禁断の愛。物語として、実に面白いです。  よくよく読んでみると、タッソの描き方は、案外公平かもしれません。  イスラム側の苦しい事情が、彼女たちの口を通して伝えられているからです。  この公平さゆえに、この作品は普遍的な価値を持つと思います。  後年、タッソはこの作品を改変し、「征服されたエルサレム」と題しました。  しかし、当時のキリスト教社会からは、不評だったとか。  ところで、ゲーテがタッソに感情移入していたことは有名です。  私は恥ずかしながら、ゲーテの「タッソオ」で、この詩人を知りました。  「タッソオ」 →  http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-07-06-1  さいごに。(初めての映画館)  娘はこの夏ママと一緒に、初めて映画館に映画を見に行きました。  今までは、中が暗くなるのを怖がっていたため、入れませんでした。  見たのは、「モンスター・ユニバーシティ」。  とても面白かった、と言っていました。

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