■ヒトコト感想
疫病神にとりつかれ、ホームレスとして生活する東口。前半はホームレスとの共同生活が描かれ、後半は思わぬ事件に巻き込まれ、スリリングな逃走劇となる。東口が家具職人というはポイントかもしれないが、物語として絶対に家具職人でなければ成り立たない話ではない。
疫病神が登場するあたり、なんとなく伊坂幸太郎作品を連想させる流れだが、単純なファンタジーではない。疫病神の正体がポイントで、今までの不幸の連鎖には理由があるという流れだ。東口に突然弟子入り志願の女が登場するが、疫病神の存在と対になるような雰囲気がある。オチとして衝撃的だとかいう感想はない。淡々と物語が最後まで進んでいくという感じだ。
■ストーリー
経営していた会社も家族も失い、川辺の空き地に住みついた家具職人・東口。仲間と肩を寄せ合い、日銭を嫁ぐ生活。そこへ飛び込んでくる、謎の女・奈々恵。川底の哀しい人影。そして、奇妙な修理依頼と、迫りくる危険―!たくらみとエールに満ちた、エンターテインメント長篇。
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