『兼農サラリーマンの力』 古屋富雄 2013/06
著者は南足柄で新農業制度の立案などを行う。この3月に市役所を退職。 南足柄市での新たな農業参入システムについての本。
「兼農サラリーマン」というのは、サラリーマンが農業を兼業で行うというもの。農家がサラリーマンを兼ねる兼業農家の逆パターン。
現在の農地法では、農家以外の農地所有を厳しく制限している。新規就農者は、県知事の認定する「認定就農者制度」によって、定められた研修(農業アカデミーで1年以上の研修)を受講した後、「就農計画認定申請書」の認定を受けて農業者になることができる。新規参入にはハードルが高い。
そこで南足柄市では「南足柄市新規就農基準」を作り、最初の1年を試行期間(10アール以上)とし、その後農業委員会で新規就農者と認定する制度とした。研修の代わりに試行にしたというところか。
また、耕作放棄地の解消を目的に、「市民農業者制度」が作られた。耕作面積は「南足柄市新規就農基準=10アール」未満で、下限が300m^2。定年退職者(定年チェンジ・ファーマー)などを想定している。就農へのステップアップの道もある。
市が用意する農地は、有機自然農法をする人ならば、まわりの農家に迷惑の掛からないように、周辺も同様な状態である農地を選ぶ。お互い農薬や雑草、害虫が影響するためだ。適当に耕作放棄地を貸し出すわけではない。
この制度で3年半で新たに農家になった人は12名、市民農業者が4名、農業生産法人2社、株式会社の農業参入が3社。個人の農家が意外と少ない。
大阪府でもこの制度をまね、2011年に「準農家制度」を作り、31人が「準農家」に、3人が農家になった。さすがに人口規模が違う。
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