ドラマ「半沢直樹」が現在 TBS 日曜劇場でオンエアされており、
非常に高い視聴率が話題となっていました。
これまで池井戸潤さんの作品を全く読んだことがなかったのですが
そこまで話題になるのなら・・・と思って買ってみました。
バブル時代に東京中央銀行に入社した半沢 直樹は、
バブルがはじけて不況となった今、中堅社員として仕事をこなす日々が続いていました。
そんなとき、支店長の浅野経由で融資を担当した会社が倒産し
銀行は 5 億円の焦げ付きを抱えることになります。
浅野はその責任を半沢に押し付けて逃げ切ろうとするのですが
半沢は真相を解明すべく、自分で調査に乗り出すのでした。
テンポが良くて、あっという間に読んでしまいました。
池井戸さんの経歴を WEB で探してみると、もとは三菱銀行にお勤めだったようです。
それで、銀行の内部のことを良くご存知なのですね。
まあ、銀行とはいっても、すべての銀行を一くくりにはできませんが。
実際には、銀行ごとに相当カラーが違うので、
合併なんかするときには相当大変のようです。
ですので、すべての銀行がこの本に書かれてあるような職場であるとはいえませんが
私の両親は元銀行員で(本書にあったとおり、行員の典型的パターンである職場結婚です。
その辺のことも書かれていたので、良くご存知だな、と思いました)
家では、母が父のサポートに徹していた役割分担を良く見ていましたので、
浅野さんと奥様の関係がすんなり理解できました。
また両親は仕事の話をおおっぴらにしませんでしたので、
職場があんな環境であったのなら、苦労したのだな・・・とも思いました。
父なんて「はよ定年にならんかなー」が口癖でしたから。
出世街道から外れ、定年を待ちわびながら、ただひたすら職場に通い続けた人でした。
父と比べると、半沢さんは、割と出世欲がある人だから
こういう仕返しを思いつくのかもしれません。
浅野さんは、もとは人事にいた人だというのに、社員の何を見て
半沢さんをスケープゴートにしようと思ったんでしょうか。
明らかに「人選ミス」だと思います。
半沢さんは本書で「やられたら十倍返し」と言っていましたが
読んでみて、これくらいでとんとんでは・・・と思ってしまいました。
私なら、出世欲はないので、浅野さんをあっさり警察に引き渡しますね。
浅野さんの奥様への遠慮もしないと思います。
半沢さんは、口は悪いですが、基本的にはいい人なんですよ、やっぱり。
半沢さんと組んで、倒産した会社の社長を追い詰める、
下請け会社の社長の竹下さんが良い味を出しています。
「たまには正義も勝つ!」
この台詞が大好きです。
でもたまにしか勝てないから、こういう話を読むとスッキリしてしまうのですよね。
それではいけないです。「正義はいつも勝つ」でなくては。
あ、だけど、そうなると、何が正義なのかが大事になってくるか・・・。
妙なところに思考がいってしまったので、この辺にしておきます。
日ごろ理不尽な思いをしていることが多くて、鬱憤を晴らしたい人にはとてもお薦めの本です。
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