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「水底の棘 法医昆虫学捜査官」 : 被害者から見つかった棘を追え!

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★あらすじ

冬が始まった頃のある日、知り合い(「大吉昆虫コンサルタント」)の害虫駆除を手伝いに、法医昆虫学者の赤堀はとある河川敷にやって来た。大発生しているユスリカの駆除だ。赤堀は、捉えた虫たちの中に"馴染み"の昆虫を発見する。死骸を餌とする腐食性のハエだ。この近くに"何かの"死骸があると思った赤堀は辺りを探ってみる。そして、中州で水死体を発見したのだった。 その遺体は上半身裸で、前のめりになるように顔を地面に埋め込むようにしていた。早速、虫たちやカラスなどの饗宴が始まっていた。だが、その遺体を見るなり赤堀は、冬で気温が下がっている割には虫たちによる損傷が激しすぎることに気が付いた。なにか腑に落ちないものを感じつつ、警察に連絡を入れる。 そうして、この事件は始まった。 すぐに検死によって「絞殺」と死因が断定されたものの、遺体の損傷が激しかったり、所持品がどこにでも売っているマイナスのドライバー一本だけだったりで、身元が全く分からない。 ここで岩楯と鰐川両刑事の登場。今回もこのコンビが事件を担当することに。もちろん、岩楯刑事は赤堀准教授の"お守り役"も兼任だ。彼らは、判別も難しいほどになっていたものの、かろうじて残っていた遺体の腕の刺青を手がかりに身元を追う。もちろん、赤堀は遺体やその周りから採取された昆虫たち(やその死骸、破片)の調査に乗り出す。 だが、身元に繋がるものがなかなか出てこない。なにせ刺青はその絵柄も判別できないほどなので、聞き込みをするにも難しい状態。また、昆虫たちは冬にしてはやたらと"食欲"が旺盛過ぎるほどに遺体を食い散らかしていた。こんなことは昆虫学の常識からは考えられない。どちらも行き詰まり状態になってしまった。 こんな状況を打破し、彼らは被害者の身元を割り出せるのか、そして犯人は?!

★基本データ&目次

作者川瀬七緒
発行元講談社
発行年2014
  • 第一章 夏からの知らせ
  • 第二章 刺青が招いた街
  • 第三章 シングルマザーの決意表明
  • 第四章 水底の毛虫たち
  • 第五章 O型の幸運

★ 感想

著者の法医昆虫学捜査官シリーズは、最初にモニターで読んで(「147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官」 7/17発売 モニターの時とちょっと題名が変わったのね)以来、二作目も読んだし(「シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官」 : 虫博士に虫マニアがつかず離れず事件に迫る)、次が出るのを楽しみにしていた。そして待望の三作目。Kindle版が出るのを待って、やっと読んだのでありました。 結果、期待を裏切らない面白さ。相変わらず、昆虫博士も刑事たちもノリが軽すぎる気がしますが、昆虫の生態から被害者の身元や犯人に迫っていくストーリーはワクワクさせるものがありました。 遺体には「カマキリの脚の破片」や「毛虫の針状の毛」が付着しているのが発見されるんですが、冬の時期に編だぞと気づいた主人公はこいつらの正体を探っていくんです。そして、今回の事件ではいつものハエ君たち以外に"ゲスト"の生物たちも登場。こいつら何もの?と、思わずGoogleで画像検索したくなること請け合いです。残念ながら本書には挿絵や写真は使われていないので、自分で調べるしかありません。まあ、このシリーズで昆虫たちやその"食事シーン"の写真を載せたりしたら、売上激減かも知れませんが。私の場合、テレビドラマの「BONES ―骨は語る―」を観ながらホルモン焼きを食べることも出来るので(自慢にならないか。。。)、問題はないのですが。 まあ、昆虫に代表される節足動物は、この地上で最も繁栄している(種類や個体数が多い)生物だという話をどこかで聞きましたが、そんな彼らを味方に付ければ事件解決もこんな風に出来ちゃうんだなと感心するのであります。 巻末に、著者が参考にした文献が載せられているんですが、これまた面白そうなものばかり。でも、"深み"にハマりそうでさすがに手を出すのは控えようかな。 日本のドラマでも沢口靖子主演の「科捜研の女」シリーズが回を重ねていますが、あんな感じの話が好きな人にはおすすめです。もちろん、昆虫好きな人にも。 電子書籍版
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