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「全国 名茶室案内 国宝から名席まで」林忠彦

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「全国 名茶室案内 国宝から名席まで」 写真:林忠彦 発行:婦人画報社 仕事で年に数回、取引先のSさんのお宅に通っている。 神奈川県の海の近くの住宅地にある普通の一軒家だが、少しだけ変わっているといえば、Sさんの書斎が茶室仕立てであるということ。 Sさんは特に茶道をしているわけでもなく、ましてや茶器道楽をしているわけでもない。 純粋に茶室だけに憧れ、改築したという。 四畳ぐらいのスペースに床の間があり、禅画の掛け軸が掛かっているだけで、何も置いていない。 日本的な狭い空間で毎夜、読書や音楽鑑賞を楽しんで過ごしているという。 Sさんが若い頃、地方の友人宅に一週間程滞在した時に離れの茶室で過ごしたことが忘れられず、茶室を作りたい、持ちたいと憧れていたらしい。 本書は、日本にある国宝の茶室、重要文化財の茶室、名席、美術館の茶室など22席の茶室の写真集である。 国宝に指定され、小間茶室の最古で千利休の唯一の遺構といわれている「待庵」、同じく国宝で織田有楽斎の独創性と斬新性が遺憾なく発揮された「如庵」。 南禅寺・金地院「八窓席」、箱根・強羅公園「不染庵」、東京白金台の畠山記念館「翠庵」などが紹介されている。 巻末の「茶室の成り立ち」「茶室の見どころ」も参考になることが多い。 林忠彦氏の躍動感と静かさが伝わる写真が素晴らしい。 先日もSさん宅にお邪魔した際、茶室で珈琲をご馳走になり、庭に新たに茶室を作るという「密談」を打ち明けられた。 家族にはまだ内緒らしいが、庭にある樹が茶室をぶち抜くという壮大なものだそうである。 「ここは(茶室)落ち着くだろ」と笑顔で言われたので、笑顔で「うち(狭いアパート)もこんな感じです」と返答した。

全国 名茶室案内―国宝から名席まで いつでも拝見できる (あるすぶっくす)

全国 名茶室案内―国宝から名席まで いつでも拝見できる (あるすぶっくす)

  • 作者: 林 忠彦
  • 出版社/メーカー: 婦人画報社
  • 発売日: 1993/10
  • メディア: 単行本

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