*~サブタイトルは「大人の人生相談」。仕事に悩んだとき、病気の友人にかける言葉に悩んだとき、誰かを好きになって悩んだとき。作家・伊集院静さんが、自らの体験をもって、読者の悩みに答える一冊。週刊文春で掲載された悩み相談の単行本化。~* タイトルが、素敵ですね。 悩んでいるうちが花だ、と。 確かに、悩むことから逃げたり、悩みに沈んでしまうことを避けたり。 そんなことばかりができるようになっては、つまらないですね。 本書は、伊集院さんならではの生き方への考えが、痛快な言葉で、はっきり、さっぱり表されていて、読んで元気になれる本です。 何度か読んでいるのですが、今回は、特に、仕事について書かれてあるところをじっくり読みました。 面白いのは仕事じゃない、と。 自分のためだけに生きるのはいやしいことだ、と。 少し古めかしい考え方といわれればそうかもしれませんが、大切な見方だと思います。 初めからその仕事がなんなのかがわかって、かつ仕事ができて、なんていうことはない、と。 何もできない、何もしらない、と実感して初めて進歩があるのではないか、と書かれています。 そして、懸命にやれる仕事が見つかったら、その仕事がなんなのかがわかるまでやらなければ、と。 私事ですが、最近、どれだけ経験をつんでも、まだまだ先があるなあ、いつまでたっても、半人前にもなれないんじゃないかなあ、と時々不安に思うことがありましたが、本書のこのような言葉にであって、気合を入れなおしました。 何もせずに、何かができるようになんてならないし、ノーリスク・ノーリターン、進歩したければ、それなりの努力はしなければならない、と。 恋愛と友情は、その人が生まれてきた価値を証明するものだ、というとらえ方も、読むたびに、すてきだなあ、と思います。 ちょっと何かに疲れたとき、ページをめくりたくなる人生相談書です。 *「悩むが花」 伊集院静/ 文藝春秋*
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