* 「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ, 谷岡一郎, 文藝春秋, 4166601105
世の中でもっともらしく引用される「社会調査」はゴミばかりである、という主張のなかなか強烈な本。
文春の新書で、2000年の出版である。ハフの「統計でウソをつく法」を、日本の実例で展開しましたという様相だ。
ここで言っている社会調査というのは、何々について調査をしたところ○○%はこれに賛成であることが判明した、とかいうアレである。
ほとんどの調査はその方法がめちゃくちゃで、結果(得られたデータ)はゴミでしかない、という話だ。
やり玉に挙がっているのは、官公庁、学者、社会活動グループ、そしてマスコミが実施する統計調査だ。
内容の詳細は省くが、そもそも調査の動機が不純だったり、調査方法が特定の団体にとって恣意的、調査技術が未熟で結果が当てにならない、そういう調べ方すればそりゃそういう結果になるよなぁ的なものがじゃんじゃん実例で出てくる。新聞記事や公的な調査結果、著書などの場合、名前入りで糾弾しているので、著者はこの本でだいぶ敵を作ったんじゃないかという気がする。
2000年執筆ということで、昨今やたら目につく書きっぱなしブログ風しったかぶり記事、などは出てこないが、本書を読んだ限り、結局人間のやっていることなので根本は同じのようだ。ネット社会の弊害で、世の中に流通する文章の平均品質は下がっていると思われる。
本書は、あたかも信頼できるかのような統計数字をだして読者をごまかそうとしているような文章を読んだ場合に、それが実はどういうことを意味しているものなのか把握するための素養としての意味がある、といえるだろう。
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読了: 「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ, 谷岡一郎
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