けれども夜っぴての陳謝は功を奏さず、急須や鍋、
釜たちは鋭い歯をむき出して唸っていた。
僕のたばこの吸い方についてまで口出しすることは無いはずだ
とつぶやいたのが、しかし、彼らにそれほど気になったのだろうか。
いわば僕を縛り上げるのだ、そんな風に少しずつ。
僕はだからこそ、橋、星、花、川の流れ、雲を愛するのだ、
みかんやポットよりも。
むろん、真面目な人生を異郷で送ってきた
父や母がそんな僕をどう思っていたか……
許さない、とも、許す、とも思わぬ。
それでこうして日々の侵入は放置されていた。
しかも、荒波の打ち寄せる砂浜に残された足跡みたいに。
焚かれ、流されて!
が、知ろうとも思わぬ、知ることができないのではなく。
こうして僕らを縛り上げるの、焚いたり流したりするものが何であり、
何の目的でそのように行為するのか。
むしろ、聞こえてくるのだった、捨ててこそ浮かぶ瀬もあると。
まんざら嘘っぱちではなく、ああ夜っぴての陳謝と日中のささやかな言い訳。
僕らをなおも遠くへと運ぶものへの抗いはどのようにして可能であろうかと。
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無題その4
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