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「白熱灯」

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 *~「わたし」と友達・貴夜子の飲み会に時々つれてこられる、貴夜子の後輩で、司法試験合格をめざしている40歳近いマブチ青年。彼は白熱灯の部屋で行われる試験には、必ず失敗してきたという。~*  白熱灯だから失敗、というのがなんとも腑に落ちませんが。  でも、描かれるマブチ青年の、明らかに不器用な感じと、変なまじめさで、ああ、そういうことを信じている人なのかも、と思いました。  三人とも、独身で、両親と同居している「寄生的独身」ということになるらしいですが、「パラサイトシングル」の和訳がとても新鮮に感じられました。  場面が常にお酒の場なので、どちらかといえば、素のままの3人が描かれているのでしょう。  3人とも、年齢より若く思えます。  そして、こういう淡い時間を知人と持てるのも、この年代、この境遇故ですね。  白熱灯だけでなく、通の人がいやだとか、仕事の話や、「寄生的独身」とひとくくりにされることへの不満やら。  最後は誰が勘定をしたのかもわからなくなったり。  どこかの酒場に迷い込んで、隣の席の集まりを冷やかし半分、半ば本気で展開を楽しみに、覗いているような気分になった作品です。   *「白熱灯」(「ハヅキさんのこと」に収録) 川上弘美/講談社文庫*


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