デビュー作から読み続けている加納さんを久々に読みました。 加納さんの生まれ故郷の北九州を舞台にした少年の成長を描いた作品です。 小学五年生の高見森は、父親の転勤のため北九州に引っ越すことになった。転校先で出会った、同じ社宅に住む仲間たち―ココちゃん、あや、竹本兄弟、そしてパック。新しい友だちと楽しい日々を過ごす森だったが、徐々に違和感を覚え始める。誰かが描いた地上絵、図書室の暗号、友だちの秘密…。小さな謎に秘められた、驚きの真実とは。 (「BOOK」データベースより) どこか懐かしいと思える少年時代のエピソードの数々に、物語の最初に提示される社宅に住む「あや」という女の子の謎から始まり、引っ越し先で出会う謎や秘密に、どんどん物語に引き込まれます。 小学生のときの転校という心細さと不安とちょっとの期待と高揚感というのは、経験した人でないとわからないものでしょうね。 ただ、森という少年は親も手を焼く腕白者で好奇心旺盛なので、近所の子どもたちとすぐに仲良くなって、一緒に謎解きや冒険に出かけたりします。 子どもの頃の世界ってせいぜい自転車で行ける範囲ではあるんですが、その世界が意外と広くて、夜は深くて、そんな記憶が甦りました。 白血病と戦っているという加納さん。無理せず、でも素晴らしい作品を待っています。
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