・孤独な犬たち/愁堂れな キャラ文庫
私が愁堂さんの著作の中で一番好きな話は、「罪シリーズ」である。 愁堂さんがお得意の、2時間サスペンス風BL。 いつも、主人公ではない人間によるプロローグとエピローグがついている。 プロローグを読むと、さぁ始まるぞ!と気持ちが高ぶり、本編終了後のエピローグを読むとプロローグではわからなかった彼の心情がわかり、切なくなる。 今回の話も、そう。 プロローグとエピローグが付いている。 爆破事故でたった一人の肉親である兄を失った、高校生の香介。 犯人である若頭の加納に敵を取るために、頑張ってリハビリし、新宿へ。 そして……。 香介をずっと心配していろいろと親切にしてくれた警察官の、佐橋。 その良い人振りが、なんだか胡散臭い。 なにか目的があって? 彼は見方? それとも、敵? 加納は見方? 彼の正体が見えない。 彼は見方? やはり、敵? 誰が真実を知っているのか、兄が殺されたわけは? 謎だらけで、読んでいて楽しい。 そうそう。 これこそ、愁堂さん! ところが。 なぜ安易に抱く? BLだから? せっかく硬派で進んでいたのに、ここで一気に崩れていった。 あーん、そこまではおもしろかったのに 硬派だった加納のままでいて欲しかった。 でも、最初から香介のことを想っていたから、それは無理か。 それでも、加納にはもっと硬派でいて欲しかったよ。 惜しい! イラスト担当の葛西リカコさん。 そんなに好きな絵柄ではなかったんだけれど、今回はよかった。 切なさが出ていて。 ★★★↧