太田恒雄著。
・1945年8月15日、ポツダム宣言を受諾して無条件降伏した日本。しかし地球の裏側、ブラジルの日本人移民社会では、『日本は無条件降伏したのだ』という現実認識派、通称『マケ組』と『いやいや、日本が敗れるはずがない、これはアメリカなどの巧妙な宣伝作戦だ、寧ろ追い詰められているのは米国なのだ』というファンタジー追求派、通称『カチ組』に二分され、カチ組がマケ組を襲撃する同一民族内の抗争事件に発展していった。
・やがて正しい情報が行き渡り、この抗争事件は終息してゆくのだけれど、その間に23人が暗殺され、百数十人が負傷。当時新憲法を制定しようとしていたブラジル政府内では、日本人移民の渡航禁止を憲法に記載しようという動きまであり、また『日本は戦争に勝つんだからここで円を買いませんか』『日本に凱旋帰国しましょう。手配は私がすべて取り仕切ります。ではまず手付金として。。。』といってお金だけ受け取ってドロンする詐欺が横行。
・そんな戦中・戦後の混乱を取材したノンフィクション。
・yogiさんこの『ブラジル日本人社会のカチ組マケ組抗争』、知りませんでした。
関連アドレスをリストアップ
臣道連盟(カチ組の総本家みたいなところ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%A3%E9%81%93%E9%80%A3%E7%9B%9F
百年の知恵 移民と「日本精神」 遠隔地ナショナリズム(ニッケイ新聞)
http://www.nikkeyshimbun.com.br/2008rensai-fukasawa1.html
・ブラジルでは大戦中日本語(枢軸国の言語)放送・出版が禁止され、3人以上の集会も禁じられており、あやふやな噂や、ノイジーマイノリティの言説が流布しやすい環境だった。
・多くの情報を受け取り、それを判断する能力を持つことが必要。情報がすべてを制す。いつの時代も変わりませんね。
「日本は降伏していない」―ブラジル日系人社会を揺るがせた十年抗争
- 作者: 太田 恒夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1995/04
- メディア: ハードカバー