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藝人春秋  水道橋博士著  文芸春秋

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  私は北野武や松本人志の映画をみたことがあるが、彼等がそれほど有名だとは思わなかった。特に北野武のテレビや松本人志の映画は全く面白くない。しかし、武がテレビで池上彰と聞いた瞬間、「それはいい質問ですね」というのをテレビで聞いてこれはその人の特徴をよく捕らえているな(私の印象に残った言葉だ)と思った。彼の映画は確かに面白いし、それまでの日本映画みたいに殺すぞ、殺すぞと言いつつ最後まで生かすのと比較して、すぐその場で殺してしまうのを見て、こいつは面白い、さすがわと感じ、それから武のテレビは見ることはなかったが、 映画はほぼ全て見た。

 松本人志の「大日本人」という映画はみたし、「餓鬼の使いやあらへんで」は本で読んだが、それほどの天才だとは思わなんだ。この二人をこの本ではベタホメだ。まず人真似でないお笑いを創造するとある。確かに著者と二人で組んだ浅草キッドから見ればこの二人はまさに今の芸能界を常に革新するお笑いの天才なのだろう。

 その他テレビや映画で活躍する数々のお笑い藝人の本当の姿が描かれる。著者が実際に接触した人々で、自殺した人もあれば、とても想像出来ない姿で登場する。お笑い芸人はテレビでそれを見る方の要求がそれを望んでいるのである。演じている芸人達はそれに打ち込まざるを得ない。自分の芸で観客を面白がらせる芸人は武と久志以外にいるのだろうか。そう意味で2人は偉いのだ。


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