『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』 ちきりん 2012/05 著者は2010年に早期リタイヤ。ブロガー。 世界を旅して感じた文化の違いなどについての本。 1980年代に訪れたビルマでは、入国するときに滞在1日につき1万円程度を両替させられた。しかし当時のビルマでは観光客向けの店も商品もなく、富裕層向けの闇バーで無理やり散財する。当時は経済封鎖で先進国から物資が入ってこない時代。「お金とは価値あるモノが存在しない環境ではなんら意味を持たない」と述べる。 同じく80年代のインドでは、外国人と見ると「ドルじゃなきゃダメ」と言い出す人ばかり。世界には自国通貨より米ドルを欲しがる国がたくさんある。そのような国では自国通貨では価値あるものが手に入らない。国際市場で自由に両替可能な「ハードカレンシー」を持っている国はそんなに多くはない。普通に働くだけでそういった通貨が得られる国で生活できるのは、ものすごく恵まれたことだと述べる。 米ドルが嫌われる唯一の国はキューバだという。 破たん前のソ連を訪れたときには、国中が極端な品不足だった。商品があればどこでも長蛇の列ができる。タクシーは並んでいる客に行き先を聞いて、気に入った客を乗せるという「売り手」市場。 96年に訪れたモルジブでは主要な観光客は欧州人だった。しかし08年にはロシア人が大量に来ていた。資源価格高騰の恩恵を受けていたのだ。「世界のビーチリゾート」を訪れる人を見ていると、「今世界でどの国が一番景気がいいのか」がよくわかるという。「ひとつの国からの旅行客に依存するのではなく、世界の金持ちを追いかけ続けること」が世界屈指のビーチリゾートが生き残る道。 同じ欧州でも北欧の方が海外渡航者比率が高い。フランスや米国では行くとしても地続きの隣国に行く程度。自国内に「楽しめる場所」が存在している国は海外旅行に出かける人は多くないと述べる。日本の若者が海外旅行をしなくなったのは、日本が楽しい、いい国になったからだという。
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