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ふたり暮らし【その他】 その1 一人暮らし

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基本、独りが好きだ。 仕事の都合で、転勤があり、実家を出て一人暮らしをしていた。 転勤で再び実家に戻って来たら、何だかもう実家の生活サイクルと、自分の生活サイクルが合わなくなっていた。 と、いう事で、実家にほど近い安い家を借り、再び一人暮らしを始めた。 ボロボロの平屋の一軒家だった。 だけど、ここには自分の理想の縁側がある。 縁側のある家に住むのが、昔からの自分の憧れだった。 今の実家には、縁側やベランダは無かった。 それで、実家が少し窮屈に感じたのかもしれない。 ボロボロでも、住めなくは、ない。 実際ボロボロなのは、見た目だけだった。 室内は清潔にリフォームされており、昔ながらの大きな押入れも付いている。 必要最低限の物も揃っている。 この家のお風呂には、追い炊き機能がついているし、トイレも水洗だった。 ガス台も、瞬間湯沸かし器も設置されている。 充分だ。 2LDKで間取りは広いし、家賃も安い。 交通の便、日当たり、立地条件もいい。 最高じゃないか。 私は、家を決めるとすぐに、実家から少しずつ物を移動させた。 生活に必要な大型電化製品や家具…冷蔵庫、洗濯機、テレビ、ベッド…それさえ家に入れてしまえば、あとは自由だった。 衣類も食器も、一人分なら、移動量はたかが知れている。 あとは、自分の体型に合わせた幅の広い固めのソファーと、テーブル、居間を印象づける自分好みのカーペット、をじっくり選んで、毎週少しずつ購入した。 そして次のボーナスが出たら、ずっと狙っていたルンバを走らせるのだ…。 「ムフフ…♪」 私は、自分の計画に、独りほくそ笑んだ。 「快適、快適~♪」 誰もいない部屋で、一人きままに鼻歌を歌い、縁側に腰掛け、日向ぼっこをしながら、わずかな花壇の手入れを楽しんだ。 仕事も、勝手知ったる元の部署に戻った、というのもあり、なんとも気楽な新生活をスタートさせていた。 ほどなくした頃だった。 暑い夏の、休日の午後。 まったり、音楽を聴きながら、スマホで最近ダウンロードした新しいゲームをしている最中だった。 急に、登録の無い番号からの電話が入って、ゲームが中断された。 「…!」 勿論、出るのをためらった。 番号交換していない人の、電話に出るような性格ではない。 急な仕事の用件…という、そんな必要に駆られる仕事など無い。 戻って来たばかりで、そんな引継ぎなどまだ受けていなかった。 通販で荷物なども頼んでいない。 数か月前にも、この番号から電話があったような…。 「…」 やり過ごそうと思ったが、あまりにも長くなる呼び鈴に、思わず取ってしまった。 間違え電話ですよ。と、言ってやるために。 「…はい…?」 「…」 「…?…もしもし…?」 つながっているのか? 向こうの返事が無い。 ?なんだ?向こうも間違えだと気付いたか? と、切ろうとした。その時、 「…もしもし。」 男の人の声だった。 こっちは、知っている人では無い。 完全に間違え電話か、それとも何かの勧誘なのかな…。と、というつもりで、警戒心丸出しの口調で対応した。 「もしもし…?あのー…、どちら様ですか?」 「…翔和子…?」 「!」 ドキッとした。 私の名前だ。 「え…?」 相手には見えないだろうが、私は目を白黒させて驚いた。 急に、自分の名前を言われて、知り合いだったのか?と、うろたえた。 しかし…。 だ、誰だ?誰なんだろう…。 オレオレ詐欺…とか?名前なんて言わないか。 聞き覚えの無い声で、全然思い当たらない。 知らないと失礼に当たる人だったらどうしよう…。 でも、呼び捨てにされているあたりで、親しい知り合いじゃないか? …とも思うけど、…でも全然思い当たらない。 同級生じゃない可能性も含め、一応、敬語で対応する。 「え、えーと、あのー…ごめんなさい、どなた…でしたか…?」 急に、声色を変えました。 ごめんなさい。 完璧、忘れています。 「あー…澤井、…みやびの弟…、デス。」 「!…雅治!?」 あ、いた、いた! そう言えば、いた! 同級生みやび、の弟。 彼女たち姉弟はとても仲が良くて、学生時代、女友達の集まりでも、この弟を呼んできて顔を合わせる事が何度もあった。 …そして、自分の記憶では、その頃から、この弟にあまり良い印象が無い…。


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