いつも舌づつみをうって幸せそうな発酵学者の小泉先生にも憂いがある。 ご実家が事故原発に近い先生は、食指の動かないモノ(原発)にも関心をもたざるをえなかった。 毎日書評欄(7月21日)掲載の先生の言葉によると・・・ 「私が生まれたのは福島県いわき市に接する田舎町で、東京電力福島第1原子力発電所から約40キロ圏内である。250年も続いてきた酒造蔵に生まれ、小さい時からそこに育ち、山も川も美しく、空気もうまかった。その古里が2011年3月12日の福島原発の水素爆発で、全てが一変し地獄模様になってしまった。無念でならぬ。」 先生は、「原発事故後、それに関わる何十冊という本を読んだ中で心に残る三冊を以下に述べる」と、記し、次の書籍をまず紹介する。
上記書籍についての小泉先生のコメントは、以下のとおり・・・ 最初の一冊は『福島原発の真実』である。著者は前福島県知事。現職の時から東京一極集中に異議を唱え、原子力発電所の存続さえ問題視していた立場にあったので、実に迫力ある内容で福島原発の事故を解剖している。その内容とは、国が操る「原発全体主義政策」の病根を嘘(うそ)と欺瞞(ぎまん)の塊としてとらえ、プルサーマル凍結から核燃料税の攻防、さらには原子炉運転の停止に至るまでを鋭く抉(えぐ)って、これらのことの根源や病巣が今回の原発事故を引き起こしたのだ、としている。中でも国と東京電力とのただならぬ癒着や、信頼の置けない原発政策に対して、国や東京電力に向かって全面対決してきたのには強い信念が読み取られるのである。 他の2冊は日本の原子力施設全データ 完全改訂版―「しくみ」と「リスク」を再確認する (ブルーバックス)
- 作者: 北村 行孝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/02/21
- メディア: 新書