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2013-07-21

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 汀こるものさんの「溺れる犬は棒で叩けーTHANATOS」を読みました。  ー平安時代から続く旧家・在澤家が次代当主として選んだのは、なんと立花美樹だった。彼に関わる人間が次々と変死し、「死神」と噂される少年である。信州にある在澤家の屋敷で行われた継承の儀式の日、予想通りに殺人事件が発生する。水槽に残された謎の文字、池から消えた錦鯉。崖崩れで孤立し、同時期に発生した事故の所為で救援のヘリも望めない。屋敷に残された「探偵」立花真樹、ボディーガードの死に損ないな刑事、奇矯な監察医が事件の真相に迫るー  旧家・在澤家の現当主は、美樹と真樹の母親の兄。しかし、重い腎臓病。次期当主となる男子が立花家にしかいない。ということで、双子と刑事と監察医が信州の屋敷へとやって来ます。親族がずらりと並び、当主より権力のある老婆の存在が、なんともいえずに「横溝的」です。当主になるには「しじま堂」という建物に家宝の太刀を持って一晩籠らなければなりません。土地に伝わる「鬼伝説」に倣っていますが、このいかにも日本的な風習や誰もいなくなった廃村など、ミステリ好きにはたまらない展開です。そして「死神」の名の通り次々と人が殺されていきますが、「死神」の存在も霞むほどに強烈なのが「カサンドラ」こと監察医・出屋敷大雅。元々強烈な印象はありましたが、これほどとは!カサンドラの所為で高槻の存在がちょっと薄くなってしまったのが残念。そして、前作ではちょっと「とほほ……」だった湊が、高槻からの電話報告だけで事件の根幹を見破ったのは流石です。日本の鬼伝説の意味や錦鯉の蘊蓄も面白かった。この作品の本当の「鬼」は、双子の父親と在澤家の当主だろう。やっぱり人間が一番愚かで怖いな。ところでタイトルの「溺れる犬は棒で叩け」は中国の諺だそうですが、やはりお国柄が出ている気がします……。
溺れる犬は棒で叩け THANATOS (講談社ノベルス)

溺れる犬は棒で叩け THANATOS (講談社ノベルス)

  • 作者: 汀 こるもの
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/07/04
  • メディア: 新書

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