『日本語はどこから生まれたか』 工藤進 2005/05
著者は明治学院大学教授。 いろいろな言語の過去の姿や関係を考える本。
日本語全体の起源っぽい話は全体の1,2割。あとは、格助詞やら動詞、人称代名詞などが過去どのような形だったかなど、話が細かくて読みづらい。
ヒトの起源がアフリカ中北部という一箇所であるように、全ての言語も起源はひとつの祖語に収斂すると考えられる(メリット・ルーレン1994年)。実際に、日本語をさかのぼってみると、古印欧語(インド=ヨーロッパ語)と驚くほど構造が似ている。従来のような語彙の比較ではなく、言語の根本特徴に着目して比較すれば、原日本語も古印欧語もユーラシア大陸でつながっていた時代が想定できる。
青森の三内丸山遺跡は5500年前から1500年続いた都市集落である。エジプト古王国時代よりも少し古い。文字がないというだけで言葉はあった。
言葉の文字化には財の貨幣化と同様のいかがわしさがあると述べる。文字・記号は代替物であり、決して事物そのものとは考えられなかった。こうした価値観の社会は変化が緩慢だが長持ちする社会だという。
人類学者カヴァリ=スフォルツァは、人間の言語はアフリカから現人類が移動し始めた10万年前に一つの完成状態に達したと考えている。
日本語文法には「複数」の概念枠はない。「複数」の初出は森鴎外の「複数の神」という言い方である。
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