昭和の好景気の時代から、
現代に至る時代背景とともに、
年齢を重ねていく過程で、
自分は、何者なのか、
どう生きていけばいいのか、
自分の意義を探す。
学生時代からずっと彼だけ見ていた。
彼の言葉に、一喜一憂し、
彼の後ろを、ずっと歩いてきた。
何をしたらいいのか、
夢も希望もぼんやりしていた学生時代、
彼は、自分のやりたい道を堂々と進み始めていた。
そんな中、実家の蔵から出てきた、祖母の書いた書物。
母から、祖母の醜さを、何度も聞かされ続けてきた疑問と、
重なる部分があると確信した和歌は、
そのことを、文章にしたいと強く思うようになった。
彼のアドバイスで、一般の会社に就職するも、
書きたい気持ちを抑えきれず、
それを発表し、新人賞の候補となる。
和歌は、小説家としての道を歩き出した。
ずっと、彼の一言一言に、緊張し、身構えていた自分。
傷つくことを恐れていた。
集中すると、周りが見えなくなる。
彼は、自分のことを理解してくれている。
甘えていたのかもしれない。
家のことをやってくれる彼に、
罪悪感はあっても、
思いやりはなかった。
抑圧された心は、
いつしか、妄想と現実が入り交じり、
やがて、彼は、遠ざかって行った。
何年経っても、居ないはずの彼が、
自分に意見してくる。
和歌は、もがき苦しんだ。
何が良くて、何が悪い。
自分は、どうしたらいいのか。
新たな一歩を、踏み出したとき、
何かが吹っ切れた気がする。
祖母に関する憶測も、
悪いイメージで固まっていたものが、
良い方向へ考えられるようになった。
やっと、本当の自分になれるかもしれない。
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