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有川浩さん「県庁おもてなし課」

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県庁おもてなし課 (角川文庫)

県庁おもてなし課 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/04/05
  • メディア: 文庫
およそ3年ぶりに有川浩さんの作品を読みました。とても面白かったです。 日本中の全ての公務員の必読書です。これを読んでなにも感じなかったら公僕たる資格ないですよ。 入庁3年目の掛水史貴は高知県庁の観光部に設立された「おもてなし課」に配属されます。「独創性と積極性」と言われるものの、課員たちはなにをどうしていいのかわからないままに他自治体の取り組みを参考に(というかパクって)観光特使を地元出身の著名人に依頼します。そのうちの一人、人気作家の吉門喬介の担当となった掛水は吉門から散々のダメ出しをくらいます。 厳しい吉門からの意見に反感を覚えていた課員たちも正鵠を射た指摘に耳を傾け、行動するようになります。 そして、吉門のアドバイスを受けてアルバイトの明神多紀をメンバーに加えるとともに、かつて『パンダ誘致論』を唱えて県庁を追われた清遠和政にコンタクトを取ります。 清遠がおもてなし課で披露したのは「高知県まるごとレジャーランド化」計画でした。 掛水と多紀、そしておもてなし課の面々は「高知県まるごとレジャーランド化」に向けて取り組み始めます。 実際に高知県庁にはおもてなし課があるそうで、巻末の有川さんとリアルおもてなし課員との対談で吉門≒有川さんであることがわかって、更に物語にリアリティが増しました。読後でしたが面白さの印象もアップしたと思います。 この物語に限らず自分の住む町の魅力というのは本人は気付いていないことが多いと思います。どうしたら魅力に気付くか、その魅力を活かすための方法や課題に気付くかは、県庁に籠もっていてはダメなんだ、掛水と多紀が清遠にあちこち連れ回されたように、いろいろな場所に行って、そこで生活している人に逢って、感じてみないといけないんだと思いました。 お仕事小説としても、「お役所仕事」しか知らないダメダメでグダグダだった若手職員の掛水が清遠や吉門の薫陶を受けて次第に頼もしくなっていく過程が描かれていて、その成長も楽しめました。 また、わかりやすいほどに組織の壁や妬み・やっかみに阻まれる状況を正面からではなく搦め手から突き破る視点の変換といったものは参考になりました。 掛水と多紀、吉門と清遠の娘・佐和(この関係はちょっとややこしい)のぎこちない恋愛がところどころで差し挟まれるのですが、ちょっとこっちは赤面ものでした。 掛水の視点から描かれているので、多紀の想いの変遷が掴めなくて唐突に恋愛シーンが始まってしまった感がありました。 でもラストシーンはよかったー 錦戸亮さん、堀北真希さんで映画化されているのですが、大人の女性というイメージの堀北真希さんと多紀のイメージとが最後まで重ならなかったです。 映画は見ていないので、きっと堀北真希さんの演じる多紀になっているんだとは思うのですが…映画をご覧になった方はどう思ったんでしょう?

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