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『ベースメタル枯渇』

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『ベースメタル枯渇』 西山孝・前田正史 2011/09 ベースメタル枯渇―ものづくり工業国家の金属資源問題  著者西山は京大名誉教授。前田は東大副学長。 金属資源問題に関する本。  有史以来枯渇によって供給が途絶えた資源は見当たらない。  この2-30年の間に起きた劇的な変化は、必要とされるメタルの種類が多様化したことと、資源枯渇の可能性が現実味を帯びてきたこと。  資源の耐用年数は(埋蔵量÷年間消費量)。耐用年数が低下すると価格が上昇し、新しい鉱床などが発見される。結果的にほぼ同じ耐用年数が維持されるのは石油などの資源と同じである。しかしこの微妙なバランスがいつ崩れてもおかしくないと述べる。要因は中国・インドなどの消費量拡大である。  どのような地下資源も、含有比率の高い(正規分布の2σとか3σ以上のような)部分だけを採掘している。資源量としては左(比率の低いところ)にピークがある。低濃度の鉱物を製品化するには2桁以上のエネルギーを要する。  ベースメタルとは近代社会の構造材料である、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛の5元素。それ以外がレアメタル。  レアメタルには、ベースメタルのバイプロダクトとして産出されるものと、メインプロダクトとして鉱山から産出するものがある。In、Cd、Ga、Geの鉱山はどこにもない。これらはベースメタルの精錬途中に回収・生産される。  アルミのリサイクル率は90%を超える。アルミ缶は、蓋の部分にマグネシウムが含まれる。また着色にチタンなどが使われている。それらは廃棄され、アルミ缶から元のアルミ缶に戻るのは60%程度。  日本のレアメタル備蓄は7鉱種、ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム。  ベースメタルの世界市場は資源メジャーにより支配されている。日本は資源メジャーの一部に参画して輸入量の安定確保に努め、またメジャーが対象としない中小鉱山の独自開発で資源確保と人材育成をすべきだと述べる。


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