2 遠くで見たもの
「ん?今井さんだ・・・」
コンビニに向かう途中にふと視界に入った制服姿の女の子が気になり、思わず立ち止まった。
あの子は今井加奈さん、クラスは違えど同じ学年の子だ。
ま、数回くらいしか話したことはないけどね。
今井さんはスーツを着た男の人と一緒に歩いている。
たぶん、お父さんの仕事帰りを待ってたんだろうな。
というか、今井さんのお父さん若いな~、いくつなんだろう?オレの父さんよりずっと若そうだけど・・・
「んなことよりも、晩飯買わないと・・・」
そう、人様の事情なんて今のオレには関係ない。
今のオレに必要なもの、それは晩飯だ。
オレはコンビニへと急いだ。
------------------------------------
「うげぇ~、マジか・・・」
どうやらオレは夜のコンビニを甘く見すぎていたようだ。
オレの求めていたコンビニ弁当は見事に売り切れていた。
おにぎりやパンも全くと言っていいほど残ってない。
仕方ない、今日はカップ麺だな・・・
結局158円の期間限定のシールが貼ってあったグリーンカレー味のカップ麺を買って帰ることにした。
ふつうのカレーラーメンのほうが安かったけど”期間限定”と書かれてあったグリーンカレーラーメンの方をつい買ってしまった。限定品とかに弱いのよね、オレって。
なにはともあれ、無事に晩飯を確保できたので急いで帰ろう。
店から出て時計を見たら20時10分くらいだった。
↧
【第1章】 幻想(ゆめ) と 現実(いま)
↧