白壁に囲まれた狭い部屋の中央には無機質な机がひとつ。その上に鎮座している白熱球がかつてはテレビ画面でよく見た顔に当てられている。
「何もかも正直に言った方がらくだぞ」
いかにも百戦錬磨の顔つきをした刑事が言った。
「それで……まずはだ、ここにサインをするんだ」
被疑者は手渡されたサインペンを震える手でつかんで自分の名前を紙に書いた。
「”聖イエス”も、”始まりはいつも飴”も、俺は好きな歌なんだぞ・・・・・・なのにまったく!」
刑事は被疑者に話しかけながら、さらに数枚の紙を取り出した。
「ここにもサインだ」
被疑者は黙ってペンを動かす。
「うちの娘だって、あんたのファンだったのに」
被疑者の顔が申し訳なさそうに歪む。刑事が続ける。
「あ、。その色紙には愛ちゃんへって宛名も書いてくれるか?」
了
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