教育技術法則化運動=TOSSの研究会というのがあって、子どもの事実に基づいた教え方の研究をする団体なのだそう。
そこの発起人にして膨大な教師向けの教え方の本を書いている向山洋一氏(自身も小学校教師)編集による本。
「学校の失敗」の続編。
学級崩壊に直面し、そこからクラスを立て直した教師40人の体験をよせてもらったもの。
そこから共通するものを拾って、役立てようという試み
新聞・テレビでは密室である教室を長期間にわたり取材することは不可能で、生還した教師のみが実例をしめせると語る。
新任教師もいれば、中堅、ベテランと呼ばれる教師もいる。
経験があっても、ポイントをおさえなければ、クラスは荒れるとしてた。
正しい教育方針によってもたらされるもの
・算数の師範テストのクラス平均が95点を超える
・これまで、10点、20点取っていた子が、目覚ましく進歩する
・跳び箱が飛べない子が、その場でとべるようになる
・どの子もコンクール入賞のような絵がかける
・漢字テストの成績が急上昇する、クラスほとんどが100点になる
・子どもが「先生、勉強って楽しいね」と言ってくれる
これらを授業時間だけでなしとげている。
勉強した教師ならだれでもできるとしている。
小中高教育論は一般論では語れない、「子どもの事実」、のみを評価の基準にすべきであり、教師が腹の底から感じた手ごたえを大切にすべき。
学級崩壊の責任の8割は教師の教育行為にあり、教師自身が変化してこそ子供を変えることができる。
子どもはよくなりたい、賢くなりたい、ほめられ、認められたいと思っている。学級崩壊を子どものせいにするのは誤り。
いろいろなポイントがあるが、まずはよい授業であることが第一。子どもは本能的に本質を見抜く、向上心のない教師では伝わらない。
そのために大切なこと
・よい授業をすること
手製プリントは、我流の授業はダメ教師。よい授業、よい教材をマネせよ。TOSSにはたくさんの事例があり、それを行うのを追試といい、確実に効果があるとされる。
算数や国語だけでなく、とび箱やイベント運営などにも教材(教え方)がある。
発問・指示・説明に授業をわけ、空白の時間をつくらない。早くできたら、何をすべきかわかっている。
・クラスを運営するのは教師であると自覚する、そして自分の得意なチャンネルで勝負する。
最初の3日間が大事。ここで何をするかシュミレーションして臨むくらい大切。
いじめはぜったい許さない。また間違った人を笑いものには絶対させない。教室はまちがうところだを徹底させる。
優しさと甘さをはき違えない、子どもはアドバルーンをあげて、どこまで許すのかを試してくる、この対応を間違えてはいけない。
・子どもに指示をだすときには「趣意説明の原則」「全員の原則」「簡明の原則」を使う。
指示は短く、一つずつ、そして全員に徹底させる(このくらいはいいかと例外をつくらない)。
移動するときの例
「理科室に移動します。他の学級に移動していることを気付かれないように静かに行きます。着いたら斑ごとに座ります。では移動します。廊下に一言も話さずに並びなさい。」このあと子ども達がたちあがるが「やり直し、椅子から立つときも音をださないように気をつかうのです」などと指示。「ゴミを拾いなさい」よりは「ゴミを10個拾いなさい」
・子どもと戦うときには1対1で一つの点だけで、または真面目な子供を味方にして戦う。
・努力と成長の曲線は違うということをはなし、成果があらわせるまで努力するように励まし、支えること。向山氏は100回を目安にしている。つまり100日続けると成長がみえるようになる。
・子どもは褒められたい、認められたいと思っている。叱るより褒めるほうを多くする。毎日ヒーローが変わる、いろいろなイベントや競争を考えて、それぞれの子どものいいところがでるように。人間関係が固定化しないようにする。学級通信も100号声を推奨していた。そこで子供を褒めると、子ども達もうれしい。できないことは、わからなくなったところまで戻りスモールステップで克服させる。
おちいりやすいポイント
・自分は一生懸命やっている悪いのは子どもだと責任転嫁する。
・自分を一方的にせめるばかりで、他人の力を借りようとしない。原因は自分だが、助けはもとめないといけない。
いろいろ書いてあるが、授業の腕をあげることが一番大切ということをみないっていた。
知的でおもしろく、緊張感のある授業だけが学級崩壊からの生還の鍵である。
そして、一度できたからと慢心せず、つねによい授業を求めて向上することが必要。
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