8.3点
6.5点
元素の本、二冊。
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「世界で一番美しい元素図鑑」は、それぞれの元素を、特徴を捉えた簡単な説明と用途、
そしてその元素を使った様々な物や、元素鉱物などをカラー写真で紹介した本。
で、これが面白かったO(≧▽≦)O!
とにかく、ウイットに富んだ著者の主観入りまくりの説明がいい!
「アルカリ金属であるナトリウムは、水素を発生させ、水と激しく反応する。」
普通なら、そんな感じの説明なんだけど、この本では、
「仮に大きなナトリウムの塊を湖に投げ込んだら、数秒後に大爆発が起き、その際、
事前にどれだけ防護手段を講じるかが、スリリングで面白い経験になるか、
人生おしまいになるかの分かれ目です」(一部略)と書いてある。
「スリリングで面白い」と著者は感じたんだろうなーというのが伝わってきて笑ってしまった。
このアルカリ金属と水の激しい反応、著者はかなり好きらしく、アルカリ金属で原子番号が一番大きい
フランシウム(Fr)の項目では、22分と短い半減期のせいで塊を作れず、
そのせいで、湖に投げ込めないことを残念がってます(笑)。
硫黄(S)の説明では、「硫黄は悪臭がします。どう贔屓目にみても答えは同じ。
粉末でも臭く、固体結晶でも臭く、燃やしたら・・・」と臭いことを強調。
フッ素(F)は、反応性が非常に高いことを「ほとんどすべてのものを無差別に攻撃する伝説的存在」と
説明されてたりします。
炭素(C)のところでは、「ダイヤモンドは特に希少なわけでも、際立って美しいわけでも、
永遠なわけでもありません。デビアス・ダイヤモンド社が作った神話で、それがなければ価格は
1/10程度」とちくり(いろんなヒーリング効果・健康作用に突っ込んでいる章も)。
ジルコンの章では、ダイヤモンドより、ジルコンの方がいいとまで書いてます。
科学的説明もちゃんとありますが、とにかく、「つかみはOK!」的な、わかりやすく面白い、
そして印象に残る説明がたくさんあって、各元素についての「イメージ」がすごく捉えやすいです。
また著者の主観に満ちたコメントも、いい味出してます。
「ニオブ」(Nb)では、その名前の由来、ギリシャ神話のニオベの話を取り上げ、
「ニオベはアルテミスとアポロンに子どもを全員殺されて、悲しみに暮れました」という文章に続けて
「私は、FBIに、ニオブ製の品物一点を押収されて悲しみに暮れてます」と、
悲哀に満ちた自分の体験が語られたり(eBayでゲットしたニオブ製品がとんでもないものだったらしい)。
金属の鋳造が大好きらしい著者は、鋳造がしやすいらしい錫(Sn)については、
「おお、スズ!なんと愛おしい元素でしょう。ほとんど無害。永遠に銀色に輝き、溶かしやすく、
細工の細かい鋳型で鋳造でき、値段もそんなに高くない」というべた褒めの文章で章が始まります。
塩素(Cl)では塩素ガス(敵も味方も同じくらい死者が出た)の兵器利用に触れ、
自分が塩素ガスを少量吸い、病院送り瀬戸際になった体験を、
「筆舌に尽くしがたい苦痛で、鼻にバーナーの炎を突っ込まれた感じがした。
塩素ガスで死ぬのは想像を絶する悲惨さに違いない」(要約)と書いてたり、
本人の、面白い体験談も満載。
また「ロジウム」(Rh)の章では、需要や投機筋の関係で、その価格の変動が大きかったことが書かれ、
レアアースなどの、経済的なエピソードも語られていて、その知識の幅の広さも感じます。
読んでて、これだけ笑えた元素図鑑は初めて。
その上、わかりやすく、ちゃんとためにもなる!
「世界で一番美しい」というより「世界で一番おもしろい」ってタイトルの方があってる気が。
ただ、説明文自体は短いので、本来なら説明されていてもおかしくない内容が、
省かれていたりもするし、詳しく説明されないとわかりにくい部分もあるので、
説明が詳しく読みやすい「元素 (図解雑学)」(リンク先感想)も合わせて読むと、
元素についての理解がすごく深まる気が。
元素について勉強したいなら「元素 (図解雑学)」と、この「世界で一番美しい元素図鑑」の
2冊を合わせて読むのが、現在のところの自分の一番のお勧め♪
写真が多いけど、お子さん向きではなく、高校生以上(中学生だと補足も少なく厳しいかも)、
大人向きの元素図鑑、というか、大人が読んでむちゃくちゃ楽しめる元素図鑑です(*^.^*)。
すっごくお勧め(^-^)ノ。
いやー、読んでて楽しかった~♪
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もう一冊の「元素図鑑」は、一つの元素について1Pの説明と、1Pのカラー写真で紹介した本
(元素番号が大きくなってくると、ほとんど解明されていないので、説明がもっと短くなりますが)。
その元素の特徴、用途、歴史的背景などが文章で紹介され、その元素鉱物や、
使われている物などがカラー写真で紹介されています。
前半、馴染みがある元素については、それなりに面白いんだけど、
後半になると、説明も「元素と周期表が7時間でわかる本」(リンク先感想)と同じように、
教科書的な一般的な内容ばかりになり、カラー写真での紹介も、同じような銀色に光った金属の
塊である、元素鉱物の写真が続き、敢えてカラー写真を使っているのが勿体ないと感じてしまうなど、
後半尻すぼみな感じが(「世界で一番美しい元素図鑑」では、本人が元素コレクターでもあるので、
後半、ネタが少なくても、頑張って、頑張って写真を載せてるのが、コメントでよくわかります)。
上記した「元素と周期表が7時間でわかる本」より、ちょっとだけわかりやすい本だったって感じでした。
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