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「世界で一番美しい元素図鑑」セオドア・グレイ著は、むちゃくちゃ面白い!「元素図鑑」中井泉著

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世界で一番美しい元素図鑑

世界で一番美しい元素図鑑

  • 作者: セオドア・グレイ
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2010/10/22
  • メディア: 単行本
8.3点
元素図鑑 (ベスト新書)

元素図鑑 (ベスト新書)

  • 作者: 中井 泉
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2013/04/09
  • メディア: 新書
6.5点 元素の本、二冊。 ---------------------------------------------------------- 「世界で一番美しい元素図鑑」は、それぞれの元素を、特徴を捉えた簡単な説明と用途、 そしてその元素を使った様々な物や、元素鉱物などをカラー写真で紹介した本。 で、これが面白かったO(≧▽≦)O! とにかく、ウイットに富んだ著者の主観入りまくりの説明がいい! 「アルカリ金属であるナトリウムは、水素を発生させ、水と激しく反応する。」 普通なら、そんな感じの説明なんだけど、この本では、 「仮に大きなナトリウムの塊を湖に投げ込んだら、数秒後に大爆発が起き、その際、 事前にどれだけ防護手段を講じるかが、スリリングで面白い経験になるか、 人生おしまいになるかの分かれ目です」(一部略)と書いてある。 「スリリングで面白い」と著者は感じたんだろうなーというのが伝わってきて笑ってしまった。 このアルカリ金属と水の激しい反応、著者はかなり好きらしく、アルカリ金属で原子番号が一番大きい フランシウム(Fr)の項目では、22分と短い半減期のせいで塊を作れず、 そのせいで、湖に投げ込めないことを残念がってます(笑)。 硫黄(S)の説明では、「硫黄は悪臭がします。どう贔屓目にみても答えは同じ。 粉末でも臭く、固体結晶でも臭く、燃やしたら・・・」と臭いことを強調。 フッ素(F)は、反応性が非常に高いことを「ほとんどすべてのものを無差別に攻撃する伝説的存在」と 説明されてたりします。 炭素(C)のところでは、「ダイヤモンドは特に希少なわけでも、際立って美しいわけでも、 永遠なわけでもありません。デビアス・ダイヤモンド社が作った神話で、それがなければ価格は 1/10程度」とちくり(いろんなヒーリング効果・健康作用に突っ込んでいる章も)。 ジルコンの章では、ダイヤモンドより、ジルコンの方がいいとまで書いてます。 科学的説明もちゃんとありますが、とにかく、「つかみはOK!」的な、わかりやすく面白い、 そして印象に残る説明がたくさんあって、各元素についての「イメージ」がすごく捉えやすいです。 また著者の主観に満ちたコメントも、いい味出してます。 「ニオブ」(Nb)では、その名前の由来、ギリシャ神話のニオベの話を取り上げ、 「ニオベはアルテミスとアポロンに子どもを全員殺されて、悲しみに暮れました」という文章に続けて 「私は、FBIに、ニオブ製の品物一点を押収されて悲しみに暮れてます」と、 悲哀に満ちた自分の体験が語られたり(eBayでゲットしたニオブ製品がとんでもないものだったらしい)。 金属の鋳造が大好きらしい著者は、鋳造がしやすいらしい錫(Sn)については、 「おお、スズ!なんと愛おしい元素でしょう。ほとんど無害。永遠に銀色に輝き、溶かしやすく、 細工の細かい鋳型で鋳造でき、値段もそんなに高くない」というべた褒めの文章で章が始まります。 塩素(Cl)では塩素ガス(敵も味方も同じくらい死者が出た)の兵器利用に触れ、 自分が塩素ガスを少量吸い、病院送り瀬戸際になった体験を、 「筆舌に尽くしがたい苦痛で、鼻にバーナーの炎を突っ込まれた感じがした。 塩素ガスで死ぬのは想像を絶する悲惨さに違いない」(要約)と書いてたり、 本人の、面白い体験談も満載。 また「ロジウム」(Rh)の章では、需要や投機筋の関係で、その価格の変動が大きかったことが書かれ、 レアアースなどの、経済的なエピソードも語られていて、その知識の幅の広さも感じます。 読んでて、これだけ笑えた元素図鑑は初めて。 その上、わかりやすく、ちゃんとためにもなる! 「世界で一番美しい」というより「世界で一番おもしろい」ってタイトルの方があってる気が。 ただ、説明文自体は短いので、本来なら説明されていてもおかしくない内容が、 省かれていたりもするし、詳しく説明されないとわかりにくい部分もあるので、 説明が詳しく読みやすい「元素 (図解雑学)」(リンク先感想)も合わせて読むと、 元素についての理解がすごく深まる気が。 元素について勉強したいなら「元素 (図解雑学)」と、この「世界で一番美しい元素図鑑」の 2冊を合わせて読むのが、現在のところの自分の一番のお勧め♪ 写真が多いけど、お子さん向きではなく、高校生以上(中学生だと補足も少なく厳しいかも)、 大人向きの元素図鑑、というか、大人が読んでむちゃくちゃ楽しめる元素図鑑です(*^.^*)。 すっごくお勧め(^-^)ノ。 いやー、読んでて楽しかった~♪ ------------------------------------------------------------------------------- もう一冊の「元素図鑑」は、一つの元素について1Pの説明と、1Pのカラー写真で紹介した本 (元素番号が大きくなってくると、ほとんど解明されていないので、説明がもっと短くなりますが)。 その元素の特徴、用途、歴史的背景などが文章で紹介され、その元素鉱物や、 使われている物などがカラー写真で紹介されています。 前半、馴染みがある元素については、それなりに面白いんだけど、 後半になると、説明も「元素と周期表が7時間でわかる本」(リンク先感想)と同じように、 教科書的な一般的な内容ばかりになり、カラー写真での紹介も、同じような銀色に光った金属の 塊である、元素鉱物の写真が続き、敢えてカラー写真を使っているのが勿体ないと感じてしまうなど、 後半尻すぼみな感じが(「世界で一番美しい元素図鑑」では、本人が元素コレクターでもあるので、 後半、ネタが少なくても、頑張って、頑張って写真を載せてるのが、コメントでよくわかります)。 上記した「元素と周期表が7時間でわかる本」より、ちょっとだけわかりやすい本だったって感じでした。

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