『新版 敬天愛人 ゼロからの挑戦』 稲盛和夫 2012/11
著者は京セラ設立者、京セラ名誉会長。 稲盛氏の経営哲学と経営手法を紹介する本。
1997年刊行の『敬天愛人』を加筆・改定し新装した本。
著者は27歳の1959年に仲間7人と京セラの前身を創業する。以降、これまで通期で一度も赤字を計上したことがない。利益率は今でも10%ほどを維持している。
著者はセラミック技術者で、上司の部長と衝突して退社・独立した。
日本は新規参入企業に対して閉鎖的であり、当時は系列企業からしか買わないという体質だった。「日本の電子機械工業界は海外からの技術導入に頼っている。」ということで1962年に米国市場へ乗り出した。著者は英語も話せず、貿易の知識もなかったという。
「手の切れるような製品」でなくてはならないと述べる。真新しい紙幣のような手触りを感じさせる素晴らしい製品という意味。
よく知られる経営手法が「アメーバ経営」。一つひとつの組織が環境に応じて姿を変え自己増殖する。あたかも一つの中小企業であるかのように活動する。しかし、会社に対して高い貢献をしてもボーナスを与えるということはない。精神的名誉が与えられるだけである。金品で人の心を操ることができたとしても一時的なものだと述べる。
すべての判断の基準は「人間として何が正しいか」ということ。
84年に「京都賞」を設立し、稲盛財団が運営している。京都賞の選考には、「日本の識者の見識を問う」として、あえて日本人だけで審査を行っている。結果として、京都賞受賞者から5名が後にノーベル賞を受けている。
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