宮部みゆきの大作「ソロモンの偽証」三部作の最終刊「裁判」を読了。
三部作の全頁数は2,200頁近く。しかし、長さは感じられず、グイグイと宮部ワールドに引っ張られました。
第三部は、中学生による中学生の裁判を描いています。法廷ミステリーは数あれど、中学生が裁判官、検事、弁護士、陪審員を務める小説なんてなかったし、その発想と小説の中で描かれる裁判シーンは既存の法廷ミステリーさえ超越した面白さ迫力がありました。
宮部みゆきが本作を書き始めたのは2002年。書き終えたのは2011年。2002年には「神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)」が起こり、2011年には「大津市中学校いじめ自殺事件」が起こっています。いずれも、中学生2年生の犯罪。
偶然だとは思いますが、2002年に宮部みゆきが題材にした中学生の事件は、現実世界の中で10年たった今も繰り返されています。
中学生という人生の中で一番微妙で多感な時期を支えていくのは、やはり大人なのかもしれない、そんなテーマも含んだ小説でした。
あらすじ:
この裁判は仕組まれていた!? 最後の証人の登場に呆然となる法廷。驚天動地の完結篇! その証人はおずおずと証言台に立った。瞬間、真夏の法廷は沸騰し、やがて深い沈黙が支配していった。事件を覆う封印が次々と解かれてゆく。告発状の主も、クリスマスの雪道を駆け抜けた謎の少年も、死を賭けたゲームの囚われ人だったのだ。見えざる手がこの裁判を操っていたのだとすれば……。驚愕と感動の評決が、今下る!
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