麻耶雄嵩さんの「貴族探偵対女探偵」を読みました。 ー高徳愛香は探偵である。有名な探偵の助手であったが、師匠である彼が急逝しその跡を継いだ。まだ師匠の名声による仕事の依頼が殆どであり、自分の実績のなさに焦りを感じてもいる。そんな彼女を見かねた大学時代の友人である平野紗知の別荘に招待され、遊びに行ったところで殺人事件に出くわした。犯人はこの別荘の中にいる。捜査を開始した愛香が犯人として名指ししたのは、貴族探偵と名乗る風変わりな男だったー やんごとなき高貴な生まれにして、自らを「貴族探偵」と名乗る。その実、捜査はすべて使用人任せであり、自分はその「結果」だけを受け取る。前作ではヨハン・シュトラウス2世の曲目で統一されたタイトルは、今回は百人一首。すべての作品で高徳愛香と貴族探偵との闘いが描かれる。 愛香が必ず貴族探偵を犯人と名指しする為、彼女が組み立てた推理にはかなり無理が生じている。有名な探偵の助手という肩書きが泣きそうである。しかし、貴族探偵の使用人達もまた、主である貴族探偵が犯人ではないという前提で推理を組み立てる為に、こちらも時として無理矢理感がある。 前作の「こうもり」に匹敵するのが今作の「幣もとりあへず」。読者は地の文で登場人物の入れ替わりを推測することができるが、登場人物達がこの入れ替わりを知っているのかがわからない為に混乱する。1度読んだだけでは理解できなかった。なかなかに頭の痛む作品だった。 「なほあまりある」では、貴族探偵の頼みの綱である使用人達が公用でふさがってしまい、誰も現場に来ることができないという状況。とうとう貴族探偵自身が推理をするのかと思ったが、さすが上に立つ人間は考えることが違う。このオチには思わずニヤリと笑ってしまった。
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